完敗だった。1失点目のオーバーヘッド弾は相手を褒めるとしても、15分後に軽々2点目を献上したことが「試合を難しくした」と選手は口をそろえた。3失点目はビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が焦点にされるが、その直前に4人掛かりで1人の突破を止められず、CKを与えた対応がお粗末だった。

海外組を含めたフルの編成で、アジア相手に3失点して敗れるのは07年7月のアジア杯準決勝サウジアラビア戦(2-3)以来。11年半ぶりの屈辱に、全3失点に絡んだDF吉田は「新たな役割(主将)を任されながら、ふがいない。未熟さを悔いている」と失望した。準決勝イラン戦の3-0快勝も昔話。「あの後、油断や隙みたいなものを感じながら律することができなかった」と長谷部ロス後の新主将は笑顔を失った。

ワールドカップ(W杯)ロシア組にリオ、東京オリンピック世代を融合し「若いチーム」と強調してきた。だが、平均年齢26・91歳の日本はカタールの24・78歳を前に言い訳できない。有利とされた準決勝からの日程も、中3日で臨み、中2日の相手にひっくり返された。DF長友は危機感を隠せない。「監督は今後、僕らベテランをどうするか考えるはず。優勝してたら精神的に支えてくれた、だったけど、優勝しなかったら何の価値もない。もしかしたら今大会が僕の最後かもしれない」とまで言った。

もはやライバル国との差はない。9カ国目のアジア王者となったカタールは昨夏のW杯に出たサウジアラビア、韓国、日本を連破して頂点に立った。「(アジアのW杯出場が)4・5枠のままだったら、次はW杯に出られるか分からない」と長友。6連勝で決勝まで進んだことに一定の評価はあるが、半年前までは「W杯8強だ」と熱かったはず。浮かれていた日本が、盟主だったアジアで現実に引き戻された。【木下淳】