なでしこジャパンの主将で、岡山湯郷MF宮間あや(30)が、女子W杯カナダ大会日本代表メンバー7人を擁する首位INAC神戸相手に、2得点に絡む活躍を見せた。1-2の後半39分には相手ボールを奪い、左足ミドルシュート。同点弾を決め、本拠の美作サッカー場史上最多動員となる4998人の観衆を沸かせた。W杯期間中に「なでしこをブームではなく文化に」と発言。リーグ再開初戦から女子サッカー界を、さらに勢いづける好スタートを切った。

 MF宮間が魅せた。W杯決勝で米国に敗れ、悔しい準優勝からわずか6日。疲れを感じさせず、157センチの小さな体を躍動させた。0-2で迎えた後半36分、センターライン付近から約40メートルのロングパスを右サイドに通し、FW高橋千のゴールの起点となった。

 同39分には、W杯で一緒に戦ったINAC神戸DF田中からボール奪取した。クルッと右回りで反転して抜き去ると、体勢を崩しながらも左足でグラウンダーのシュート。同じく代表正GK海堀がダイビングしても届かない絶妙なコントロール。ボールはポストの内側に当たって、ゴールネットを揺らした。右手でガッツポーズした宮間は「勝てなかったことは悔しい。ただ、勝ち負けだけじゃなくて、女子サッカーを見てくれている人が一緒にワクワクできる試合が多くなったらいい。また来たいと思ってくれる試合を続けたい」。最後まで諦めない姿勢を体現した。

 7日にカナダから帰国し、翌8日からチーム練習に合流した。この日はW杯ドイツ大会後の11年10月9日INAC神戸戦で記録した4958人の同会場最多動員数を、4998人に更新した。「文化という言葉が独り歩きしてはいけないですが、女子サッカーを見に行くこと、結果を気にしていただけることを増やしていければいい。美作は徐々に皆さんに文化にしていただけている。その輪を広げていきたい」。大観衆からの力を得ながら、試合後はサイン会まで行って笑顔を見せた。

 なでしこジャパンの活動も、すぐに再開する。リーグ4戦を戦ったあと、今月27日には女子東アジア杯(来月1日開幕、中国・武漢)に向けた合宿が始まる。宮間らベテランや海外組は招集されない見込み。今後については「呼ばれた時のことも、まだ考えていない。今はリーグに集中します」と言った。宮間の頭の中には、女子サッカーを文化にするアイデアが、まだまだありそうだ。【鎌田直秀】