泥沼の7連敗中だった松本が、ついに勝った。第1ステージは1-3で敗れた鹿島にリベンジ。2得点に完封と完璧な出来だった。

 先制は前半17分。相手MF遠藤のバックパスをMF工藤浩平(30)がカットし、DFファン・ソッコをかわして独走。GKとの1対1も冷静で難なく右足でゴール左に蹴り入れた。

 さらに28分、今度はDFの飯田真輝(29)が追加点を奪った。リスタートからのMF岩上祐三(25)の右クロスに、相手DFファン・ソッコに完全に競り勝って頭を合わせた。ゴール右に突き刺さり、1万7625人が詰めかけた本拠アルウィンを喜ばせた。

 後半も鹿島の反撃をしのぎ、逃げ切った反町康治監督(51)は「前節(15日広島戦)は0-6で大敗したので『ここで気持ちを見せられなかったらプロじゃない』と、かなり尻をたたいた」と納得。バランスの取れたゲーム運びに交代選手を1人しか起用しなかったが「枠を2つ残した状況にもかかわらず、最後まで走り勝てた。我々の方がボールへの執着心で上回っていた」と高く評価した。

 チーム戦術としては、引いて守る戦いから高い位置でプレスをかける戦いに原点回帰。その意識が、中断期間に獲得した「即戦力」(反町監督)工藤の先制V弾につながった。

 鹿島に合わせたゲーム戦術も、U-22日本代表MF前田を外して工藤を起用。采配が当たり「勝ったからって言うのもあれなんで詳細は公表しませんが、シミュレーション通り」と胸を張った。

 5月16日の神戸戦(2-0)以来となる勝利&完封で、連敗を7で止めた。移籍後初ゴールの工藤は「チームの助けになりたいと思ってたし、ゴールもほしかった。何より勝ち点3がうれしい」。

 元日本代表DF田中隼磨(32)は「一安心かもしれないけど、満足してはダメ。ものすごく波のあるチームなので、次も後がない気持ちで戦いたい」と手綱を引き締めた。