MF酒井宣福(のりよし=23)が古巣に勝利で恩返しをする。新潟は今日2日の第5節、福岡とレベルファイブスタジアムで対戦する。酒井にとって福岡は、14、15年に期限付き移籍で所属したチーム。右サイドバックとして定位置確保に挑んでいる姿を古巣のチームメート、サポーターに披露し、今季リーグ戦2勝目に貢献する。チームは1日、福岡フットボールセンター(福岡市)で調整をした。

 明るい表情の中に闘志をにじませた。「福岡には負けたくないですね」。酒井はストレートに勝利への意欲を表現した。

 福岡戦は右サイドバックでスタメン出場の可能性が高い。ナビスコ杯では仙台、鳥栖と2戦ともスタメンだったが、リーグ戦は途中出場が3試合。スタメンなら今季リーグ戦初になる。「ガツンとボールを奪いにいくところとカバーをバランスよくしたい」と福岡対策は立ててある。

 「対戦が楽しみ」とも言う。福岡には2年間期限付き移籍した。昨季は39試合出場、7得点でJ1昇格に貢献。「(金森)健志さんとは練習でバチバチやりあった。カメ(亀川諒史)とはプライベートでも仲が良かった。(鈴木)惇さんのキックはすごい」。昔の仲間との思い出がよぎる。

 もちろん、ピッチに立てば友情は関係ない。「知っている分、やりやすい」。特徴を把握していることは好材料だ。酒井自身は福岡ではMF、FWと攻撃的なポジションだった。攻撃力に加え、1対1の強さを前面に出す、サイドバックとしての今のプレーは旧友に知られていない。「チャレンジの失敗が許されないポジションで、大進歩している」。吉田達磨監督(41)は、不慣れながら成長する酒井の姿を絶賛する。

 酒井の兄、日本代表の高徳(25=ハンブルガーSV)はロシアW杯アジア2次予選のシリア戦(3月29日)で、右サイドバックでフル出場した。前半、ペナルティーエリアでシュートを外した場面を「あれはダメ。自分なら決めている」と笑う。一方で「オーバーラップやクロスのタイミングは参考になる」と手本にした。

 チームの右サイドバックにはU-23日本代表に追加招集された小泉慶(20)がいる。ライバルとの定位置争いが激化する中で迎える古巣との一戦。「勝ち点3を奪うことが恩返し」とアピールも意識して勝利をつかみに行く。【斎藤慎一郎】