横浜F・マリノスが2年連続でエースナンバー「10」不在でスタートした。新体制発表会が14日、横浜市内で行われ、2日前に川崎Fへの移籍が発表されたMF斎藤のつけた背番号10は空席のままとなった。MFマルティノスも浦和に流出と戦力低下が懸念されるが、オーストラリアを今年のW杯出場に導いたポステコグルー新監督が就任。名将は標ぼうする攻撃的サッカー実現のため「10」の補強を示唆した。

 スクリーンに横浜の選手一覧が表示され、会場のファンはざわめいた。2日前に移籍を発表した斎藤の代わりとなる背番号10はいなかった。チームの顔である番号は空いたままで、ポステコグルー監督は「斎藤選手には残ってほしかったが、選手自身の判断でもある」と無念さをにじませた。

 1年前の発表会でも磐田へ移籍したMF中村のつけた「10」と点取り屋の象徴「9」「11」は空席だった。その後「11」の斎藤と契約交渉がまとまり「10」を引き継いだが、結局残る2つは埋まらなかった。その斎藤は9月に右膝前十字靱帯(じんたい)損傷で離脱し、25試合1得点に終わった。シーズン終盤に攻撃の軸を失ったものの、若手が台頭し、リーグ戦5位、天皇杯は準優勝と健闘した。

 チームの底上げに成功した昨季から斎藤に加え、攻撃を支えたMFマルティノスやMF前田らが流出。前線の戦力低下を危ぶむ声もあるが、柏から獲得したFW大津に「9」、U-21日本代表のMF遠藤に「11」を託し、上位をうかがう。クラブは欧州の移籍市場が閉まる1月中の補強を示唆し、ポステコグルー監督も「あと1枠、攻撃的で違いを生み出せる選手がいれば獲得したい」と話した。

 その新指揮官は11月まで4年間オーストラリア代表を率いた。フィジカル重視の戦いからパスをつなぐ戦いに変え、15年のアジア杯で優勝し、W杯出場にも導いた。日本での初仕事に「他のチームをリスペクトしているが恐れるチームはどこにもありません。むしろ、マリノスが他のチームから恐れられるようにしたい」と力強かった。最後のピースとなる「10」を獲得し、名将が新生マリノスを躍進させる。【松尾幸之介】