イチロー刺激いわきFC鈴木一朗も日本代表の夢追う

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 「サッカー界のイチロー」も「イチローVS大谷」を心待ちにしていた。東北社会人リーグ2部でJリーグ入りを目指している、いわきFC(福島)のルーキーDF鈴木一朗(22)は、米大リーグ・マリナーズに復帰したイチロー外野手(44)の本名と同姓同名。エンゼルス大谷翔平投手(23)と同じ岩手県出身でもあり「2人の夢の対決をテレビで見るのが楽しみ。個人的にはイチローさんに打ってほしい」。マリナーズがキャンプを行う気温25度を超える米アリゾナ州ピオリアより20度以上低い、福島・いわき市内から胸躍らせた。

 生まれた瞬間から「イチロー」の使命を背負った。95年8月1日、岩手・盛岡市で産声をあげた。プロ野球パ・リーグのペナントレースは、イチローが首位打者、打点王、盗塁王、最多安打、最高出塁率を獲得して「打者5冠王」に輝き、リーグ制覇に導いた。野球好きの祖父永一さんが、迷わず命名。小1から厨川ファイターズで野球を始めた。ポジションは愛工大名電時代のイチローと同じ投手。右投げ右打ちだったが、左打ちにも挑戦させられた。「左打ちも練習させられたし、祖父の期待もすごすぎて、名前ゆえにプレッシャーもあって…。もう嫌になっちゃって逃げ出した感じ。猛反対されたけれど、小5からサッカーに転向したら、楽しくて…」。その年、祖父は他界。反対していた母洋子さんの気持ちも緩和し、グルージャ盛岡ジュニアに入団した。小6時には盛岡に所属しながら、練習のために計6チームに参加して、土日は数チームに合流する英才教育を受けてきた。

 地元岩手の富士大進学後は、3年時の16年にJ3盛岡の強化指定選手としてJデビュー。フル出場1試合を含む、5試合に出場した。4年時には大学選手権出場にも導いた。「自分に足りないもののフィジカル面や、食事管理の面においても、自分にプラスになるクラブだと思った」。未来を切り開く、いわきFCを選んだ。

 クラブはJリーグ加盟のため、各種スポーツ用品や、スポーツサプリメントの製造・販売などを手掛けてアスリートサポートも行っているドーム社(本社・東京都江東区)の全面サポートを受けて本格強化が始まった。鈴木も「筋力トレーニングも個人に合わせたメニューをしっかりと組んでくれますし、食事も3食を徹底管理してくれます。野菜中心においしく食べやすいですし、何よりも驚くのは油をまったく使わないこと。早くも体重が2キロ増えましたし、筋肉量もかなり増えています」と成果を得つつある。米メジャーリーグサッカーの強豪チームと戦ったハワイ合宿や、練習試合でもアピールを続け、新人ながら早くもセンターバック(CB)の定位置をつかみつつある。

 ▽DF鈴木の通常練習の1日

 午前6時 起床

 午前6時半 自宅から車でクラブハウスへ

 午前7時 朝食

 午前8時 入浴、体重測定など

 午前9時 筋力トレーニング後にグラウンドで練習

 正午 昼食

 午後1時 睡眠

 午後2時 ドーム社物流センターで業務

 午後6時 夕食

 午後7時半 帰宅

 午後9時 就寝

 サッカーだけでなく、毎日約4時間は、クラブハウスに隣接する物流センターで、商品や段ボール箱の仕分け業務に携わり給料をもらっている。「サッカーと仕事以外のことに使う時間は、帰宅後の1、2時間くらい。テレビを見たり、ネットを見たり、リラックスしています。休養をとることも大事。充実していますね」。

 4月にはリーグ戦が開幕する。「東北社会人は勝って当たり前。天皇杯や、全社(全国社会人サッカー選手権)でいかに勝てるか。後ろからのボール保持だったり、相手をはがしてからのパスだったり、守備でのリーダーシップをとりたい。CBは重要なポジション。守備でも攻撃でも責任がある」。昨季、チームは天皇杯2回戦でJ1北海道コンサドーレ札幌に延長の末に5-2と勝利。3回戦ではJ1清水エスパルスに善戦も、0-2で敗れた。「どちらも点を取られているので、守備を立て直す役割を担えたら良い。無失点で勝利したい」。J1の強敵撃破を目標に、近い将来のJリーグ昇格の道を着実につかむつもりだ。

 野球の道からは遠ざかったが、イチローは子どものころからの手本であり、憧れの存在であることに変わりはない。「まずはJ1でプレーすること。そして日本代表の『イチロー』に。今のままではまだまだ無理ですけれど、そうなれば亡くなったおじいちゃんも喜んでくれるかなあ?」。祖父のため、サッカーを応援してくれた母のため。イチローの背中に少しでも近づくために「サッカー界のイチロー」が、プロ生活のスタートを切った。【鎌田直秀】

 ◆鈴木一朗(すずき・いちろう)1995年(平7)8月1日、盛岡市生まれ。小1に厨川ファイターズで野球を始めるも、小5からサッカーに転向し、グルージャ盛岡ジュニアでプレー。厨川中-盛岡中央高-富士大。16年7月3日、J3盛岡の特別指定選手として鳥取戦(2○0)でJデビュー。176センチ、71キロ。家族は母、兄、姉。背番号は13。

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