湘南ベルマーレの曹貴裁監督(49)は、ベルマーレ平塚時代の1997年(平9)7月19日のホーム戦以来、20年9カ月、19試合ぶりに勝利した浦和レッズ戦後の会見で、現役時代に浦和でプレーをともにし、4月2日に浦和の監督を解任された堀孝史元監督(50)への思いもあり「絶対、勝ちたかった」とかみしめるように口にした。

 曹監督は94、95年に浦和でプレーした。一方、堀元監督は92年から98年まで浦和でプレーし、同99年には湘南の前身、ベルマーレ平塚に移籍し、01年まで湘南でプレーして引退しており、現役時代、浦和で2シーズン、ともにプレーしている。

 曹監督はJ1で1分け12敗、J2は4敗、ナビスコ杯(現ルヴァン杯)1敗、自らが監督を率いた12年以降も1分け5敗、4連敗と全く勝てなかった浦和戦の勝利を受け「21年ぶりの勝利の意味は?」と聞かれた。「今日、勝ったからって遠くに見えたのが近くなっただけ」と答えた上で「そういう言い方が正しいか分からなくて、言うか言うか言うまいか今も迷っているんですが…」と言う言葉で、堀元監督への思いを吐露した。

 曹監督 堀さんが監督をされていて、僕も一緒にプレーヤーとしてやっていた人が対戦する前にお辞めになって、悔しい気持ちもあるなぁと思っていたので…。別に堀さんから、何か言われたわけではないですけど、そういう気持ちが僕にはありました。だから…絶対、勝ちたいなぁと思いました。あれだけコーチと監督として、いろいろな意味で支えになっていた人が…もちろん、そういう世界ではありますが、クラブを去っている。そういう思いが、僕の中でも分かるところもあったので、そういう気持ちでいました。

 曹監督は、試合について「今年は、アウェーの戦績がルヴァン含めて悪くて1回も勝っていなかった。(連戦に)どうリカバーし、どう臨もうかとスタッフと考えて、少し出発の時間を早くしたりとか、初めて移動日の試合の朝、散歩したりとか…良かったか悪かったか分からないですけど、トライして1%の可能性を高めるためにやって臨んだ」と試合前から試行錯誤し、新しい試みをして臨んだことを明かした。

 その上で「浦和さんが、どういうメンバーで来るかも全然、分からなかったので、自分たち基準で考えてゲームをやった。ロッカーで選手を送り出す時、みんな自信がみなぎった顔をしていたし『チャレンジしよう』という言葉を言うのもためらうほどの顔だった。成長したなと思いながら見ていた。最終ラインは最後までビクビクしなくてラインをコンパクトに保っていたし最後、体に当てて1、2センチ…自分たちのリズムに持っていく湘南らしい泥臭さもあった。絶対勝ちたいという気持ちがピッチに出ていた。よくやったと思う」と評価した。【村上幸将】