清水エスパルスが、さくらももこさん(享年53)に手向けの勝利を届けた。横浜F・マリノスに2-1で逆転勝ち。1点を追う前半27分にMF金子翔太(23)の今季9点目で同点とすると、後半4分にFWドウグラス(30)が豪快な左足ジャンピングボレーを突き刺した。15日に乳がんのため亡くなった「ちびまる子ちゃん」の作者で清水区出身のさくらさんをしのび、喪章を巻いた「追悼試合」で、6試合ぶりの白星を挙げた。

喪章を着けた清水イレブンが、勝利への執念を見せた。前半2分、CKから先制点を献上。セットプレーから4試合連続失点を喫し、開始早々にリードを許したが、食らいついた。同27分、スローインの流れで左サイドを崩すと、DF松原后(21)のクロスをMF金子が左足ダイレクトで同点ゴールをマーク。今季チーム最多得点を更新する自身9得点目を挙げ、試合を振りだしに戻した。

ともにブラジル人のFWドウグラスとFWクリスラン(26)が、今季初めて先発で2トップを組んだ。攻撃陣のてこ入れを図ったヤン・ヨンソン監督(58)は「前線で爆発的なプレーがほしかった」と高さが武器の2人を配置した。前半18分には、クリスランが右足を痛めて負傷退場したが、チームは徐々にリズムを取り戻し、流れるようなパスワークから横浜ゴールをこじ開けた。

この日、選手たちはさくらさんをしのび、喪章を巻いてプレー。清水サポーターは、スタンドに「ちびまる子ちゃん」が描かれた旗を掲げ、清水ベンチには、クラブとコラボしたぬいぐるみが置かれた。「必ず勝って、勝利を届けたい」。選手とスタッフ、サポーターの強い思いが、スーパーゴールを生んだ。

後半4分、金子のクロスに飛び出したドウグラスが胸トラップし、左足ジャンピングボレーを決めて逆転に成功。守備陣も終盤の猛攻に耐え切った。清水を愛し、愛されたさくらももこさんに届けた1勝。クラブ一丸となって手にした6戦ぶりの勝利は勝ち点3以上の重みがある。【神谷亮磨】