東京ヴェルディのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(61)は、勝利が絶対条件だったアウェーの大宮アルディージャ戦に勝利し「シーズン中も、ずっと続けてきた1つ、1つ、しっかりと戦っていくことしか考えていない。それは今日に至っても一緒。3試合、アウェーで勝たなければいけない、難しい戦いが待っていることはチーム全体で理解しているが、やっていることに自信を持っている」と自信を口にした。

この日は前半からボールを回し、主導権を握ると、FW奈良輪雄太が右サイド、DF香川勇気が左サイドを断続的に仕掛け、サイドも制圧した。シュート数は3対1と互いに少なかったが「前半に関しては、非常にいいゲームが出来た。ボールを支配し、相手のゴール前に何度も進入できた。自陣のゴールに、相手のチームがボールを運ぶのことも少なかった」とプラン通りだったことを強調した。

ところが後半14分、MF内田達也(26)が、この日、2枚目のイエローカードを受けて退場。年間順位が上の大宮相手に、勝たなければ2回戦に進出できない中、苦境に立たされた。ロティーナ監督は「後半も、継続して同じアイデアでやっていくことと、1トップを2トップに変え、後ろを5枚にしようという、もう1つのアイデアがあったが、そのタイミングで内田が退場してしまい、残念ながらフォーメーションを変えざるを得なくなった。中盤の選手を削りたくなかったが1人減らして、後ろに1人、DFを入れて人数をかけ、守備をするしかなかった」と、後半の戦い方の再検討を要したことを明かした。2トップにした場合、どういう編成にするつもりだったかと聞かれると「あのタイミングではレアンドロと(先発の)林を2トップに置くプランで準備していた。退場したので誰かを切って代えなければいけない。そこが代わった。退場で決断を下さなければならなかった」と説明した

苦しい中、後半26分にFW佐藤優平の左FKをDF平智広(28)が頭で押し込み、待望の先制点を決めた。ロティーナ監督は「セットプレーで点を取れた後も、1人少ない状態で、フォーメーションを変える必要があった。後半は大宮がゴール前に進入する回数が非常に多く、ゴール前に下がらざるを得ない時間が増えた。残り10分、非常にプレッシャーがかかる中、非常に難しい時間だった」と振り返った。

後半45分には、無人のゴールにボールを押し込まれそうになったが、DF若狭大志が体を張ってボールをゴールの外にかき出した。さらに同ロスタイム3分には、大宮FWロビン・シモビッチに決定的なシュートを打たれたが、左ポストに当たった。ロティーナ監督は「ゴール前で決定機を何回も作られ、ポストに当たったシーンもあった。おかげさまで運にも恵まれ、大切な、大きな勝利を勝ち取ることができた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

12月2日に行われる年間順位3位の横浜FCとの2回戦(午後1時キックオフ、ニッパツ)に向け「プレーオフは、どのチームと戦うということより、このステージで戦うこと自体が、どの試合よりも難しい。横浜FCは引き分けでも進めるアドバンテージがあるから、よりプレッシャーを感じるだろう。相手によって、特にやり方を劇的に変えるわけではない。同じ仕事をして準備することが大事だと思う」と、リーグ戦と変わらぬ戦いを継続することを重ねて強調した。【村上幸将】