マイナビ仙台レディースのDF市瀬菜々(21)が、6月の女子ワールドカップ(W杯)フランス大会出場を目指し、生き残りを懸けた戦いに臨む。27日から米国で行われる国際親善大会「シービリーブスカップ」のメンバー23人に選出。今季からプロ契約を結び、万全の状態で本大会に向けた激しいメンバー争いに挑む。

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6月7日開幕のW杯フランス大会まで残り100日あまり。すでに市瀬はギアを上げている。この日まで千葉県内で行われたなでしこ交流戦では、雪もちらつく寒さの中、4日間で5試合に出場。昨季まではシーズン終盤にコンディションが上がることが多かったが、今季は6月をピークに据える。「体重や体のキレ、スピード感ももっと上げていきたい」とさらにピッチを上げていくつもりだ。

今季からプロ契約を結んだ。昨年までの3年間は仙台のホームセンター「ダイシン」で午後2時まで勤務し、同4時からの練習に駆けつけていた。接客、品出し、レジ打ちもこなし、木材の切り出しを行ったこともあった。持ち前の愛嬌(あいきょう)たっぷりの笑顔と礼儀正しい接客で周囲の評判も上々だったが、夢ではなく確かな視界に入ってきたW杯を前に、サッカーに専念したい気持ちが強く芽生えた。

「体がきつい時もありましたが、今は午前中を自由に使えるようになって、トレーニングにも休養にもあてられる。練習にも100%で臨めるようになった」。午前中は有酸素運動にも積極的に取り組み、弱点のスタミナ不足解消に努めた。「足をつったり、前半よくても後半走れないことが多かった。90分常に全力でできる体力をつけたい」と、世界を意識した生活を送っている。

常盤木学園(宮城)2年時の14年にU-17W杯で優勝、16年のU-20W杯3位はいずれも現A代表の高倉麻子監督(50)のもとで結果を残した「高倉チルドレン」。予測とビルドアップ能力にたけ仙台では主にボランチを務めるが、代表では高校の先輩で不動のセンターバック熊谷紗希(28=リヨン)の相棒としての期待も高まる。「シービリーブスカップ」では世界ランク1位の米国、10位ブラジル、4位イングランドといずれもW杯に出場する世界の強豪と対戦する。「いい経験になると思う。スピード感にも慣れたい」とさらなるレベルアップを求めながら、生き残りを懸けた戦いを続ける。【野上伸悟】