コンサドーレ札幌は名古屋に今季最多失点となる0-4で敗れ、昨年9月23日鹿島戦以来で今季初となる2連敗を喫した。前半だけで3失点と主導権を握られ、攻撃のビルドアップを阻まれた。後半はU-22日本代表のFW岩崎悠人(20)、来季加入が内定している特別指定のMF金子拓郎(21=日大3年)がそれぞれリーグ戦初出場。完敗の中、途中出場の若手が今後につながる躍動をみせた。

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完敗ムードが漂う中、リーグ戦デビューとなった若手コンビが奮闘した。前半を0-3で折り返し。後半16分にFW岩崎、同28分にMF金子がピッチに入った。2人は積極的にゴールに向かい流れを変える。32分、相手の背後に抜け出した岩崎は左足でシュート。1対1になった相手GKに阻まれたが、この試合で数少ない見せ場をつくった。「楽しくプレーできたけど、あれは決めたかった。悔しい」と岩崎。全体のシュートは今季最少の8本、そのうち6本が若手を投入した後半だった。

攻撃が好調な名古屋を止められなかった。前半17分はカウンターから、31分には進入された左サイドからオウンゴールで失点。39分には流れるようなパスワークから痛恨の3点目を許した。攻撃の組み立てでは相手のプレスに苦戦。ボールを回せず、孤立した前線は機能できなかった。昨季就任したミハイロ・ペトロビッチ監督(61)は「札幌で初めてくらいかな。こんなに選手全員の出来が悪いのは」。名将も完敗に渋い表情を見せた。

次につなげる。日大での主な位置はサイドの金子は「人生でほぼ初」というボランチでプレーした。それでも空いたスペースに展開するなど必死に順応した。「これからやっていく上でいろんなポジションをできることが大事」。正式加入は来季だが、実際に公式戦でプロと競り合うことで目標意識が高くなった。

この2週間はFW鈴木武蔵(25)ら主力組3人が代表で活動した。約10カ月のシーズンを戦い抜くには厚い選手層が必要になる。岩崎、金子についてペトロビッチ監督は「求められた役割をやっていた」と評価。前回は約10分間だったMF白井康介(24)も後半開始から入り、十分な出場時間が与えられた。「試合に出て結果を残せるプレーをしたい」と岩崎。3万1083人が入った国内屈指のスタジアムでのアウェー戦。大敗は喫したが、若手のこの経験がチーム力の底上げにつながる。【西塚祐司】

○…FW鈴木は初選出された日本代表戦後の初戦だったが、ゴールはならなかった。前線での連係が取れずにシュートは1本のみ。「チームでビルドアップがうまくいかず難しい試合になった」と悔しさをにじませた。日本代表のボリビア戦から中3日で臨んだ試合だったが「今のところ疲れは大丈夫。気持ちを切り替えて練習からやっていきたい」と前を向いた。

○…GKクはクラブ記録に並ぶ記念すべき試合を勝利で飾れなかった。この試合で17年9月30日広島戦から46試合連続フル出場を達成し、05-06年のGK林卓人(現広島)の記録に並んだ。しかし今季最多の20本のシュートを浴び、序盤に警戒していたカウンターで失点。前節を含めて7失点を許し、厳しい表情で帰路のバスに乗り込んだ。

○…完封負けにDF宮沢は「すぐ相手にボールを奪われて、こっちで落ち着かせる時間がなかった。反省するところは反省をして、自分たちのサッカーをできるように取り組みたい」。