「半端ない男」の故郷から復活ロードを歩む。秋田豊監督(49)率いるJ3いわてグルージャ盛岡のFW岸田和人(29)は、J3とJFLで得点王の実績がある点取り屋。J2で戦った4シーズンは1度も2桁得点がなかったが、ゴールを量産して優勝の原動力になる。チームのキャンプ地である鹿児島県南さつま市は、日本代表FW大迫勇也(29=ブレーメン)の出身地。8日は地元のヒーローの名がつく「OSAKO YUYA stadium」で午前と午後の2部練習を行った。

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岸田も半端ない男だ。昨季はJ2山口で9試合1得点と本領を発揮できなかったが、15年にはJ3で34試合32得点。同時にJリーグ記録の9戦連続ゴールも成し遂げ、山口をJ2初昇格へ導いた。当時を振り返り「ウソだと思われるかもしれないが、1秒先が見えて自分がトラップしたら、みんながこう動いて、シュートをここに打てば入るという感覚もあった。『あのときの岸田』と思われるプレーをしたい」と意気込む。

大学卒業後の13年に、秋田監督が指揮するJFL町田(現J2)に加入した。監督の代名詞であるヘディングを基礎から学び、動きだしや相手を外すタイミングなどを磨き、万能FWへの礎を築いた。7年ぶりの共闘に秋田監督は「岸田のゴール前での嗅覚、ゴールを取る感覚は、若い選手にはすごく勉強になると思う」と波及効果を期待する。

高校時代にはJ1大分下部組織でプレー。同学年で怪物として注目された鹿児島城西の大迫とは、U-18プリンスリーグ九州などで対戦経験がある。「刺激になるというよりも遠い存在だった。『あれが大迫か。マジでうまいな』と感じた」と率直な思いを明かす。

今日9日は昨季までJ2だったJ3鹿児島と練習試合を行う。力試しへ岸田は「いついかなるときでも結果を出せる選手になりたいと思っている。必ず得点したい」。最下位からの優勝へ20得点以上と得点王に照準を合わせる。半端ないペースでゴールを奪っていた「あのときの岸田」が今季よみがえる。【山田愛斗】

◆岸田和人(きしだ・かずひと)1990年(平2)4月3日生まれ、大分県出身。大分U-12、U-15、U-18、福岡大、町田、山口を経て期限付き移籍。大分U-18では東京MF東慶悟や徳島MF清武功暉と同期だった。J2通算91試合16得点、J3通算34試合32得点、JFL通算36試合21得点。181センチ、71キロ。利き足は右。水戸DF岸田翔平は双子の弟。