高知キャンプ中のJ2アルビレックス新潟は12日、県立春野総合運動公園陸上競技場で20分×2本の紅白戦を行った。

短い時間の中、MF大本祐槻(25)が気迫のこもったプレーを披露。右サイドバックに入った大本は、豊富な運動量で上下動を繰り返しタイミング良く攻撃に参加。スピードに乗ったドリブル突破と精度の高いクロスでチャンスを演出し、開幕スタメンへ向けアピールした。

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右サイドで大本が躍動した。終始タッチライン際で上下動を繰り返し、豊富な運動量とスピードで相手を圧倒した。攻撃ではゴールラインぎりぎりまでオーバーラップ。数的優位を作り出しチャンスを演出した。前半のゴールシーンでは、ボールをキープするMF高木善朗(27)の脇を追い越す走りを見せ、ゴールのきっかけを作った。大本はボールに直接関わらないこの動きを「ムダ走り」と表現するが、このプレーが相手守備陣を惑わせ、見えない部分でゴールをアシストした。さらに、持ち味の高精度クロスもさえた。相手DFラインとGKの間のスペースを狙って鋭いクロスをFW渡辺新太(24)へ配球。惜しくもゴールには結びつかなかったものの、渡辺新のスピードを最大限に生かす絶妙なクロスが光った。「ヘディングが得意な選手、スピードがある選手で配球は変える」。選手の特徴に応じ、多彩なキックを使い分ける。同じ右サイドで抜群のコンビネーションを見せたMF高木については「足もとの技術が高く、自分の走るスペースを空けるポジション取りをしてくれる。やりやすい」と信頼を寄せる。

今季の新潟が取り組んでいる戦術では、サイドバックが攻撃の起点になることが多い。コーチからは「ボランチが前を向いてボールを保持したら、矢のように攻撃に加わるように」と指示されている。「攻撃参加は自分の持ち味。90分を通して全力で走りきれる特徴を生かし、チームの勝利に貢献したい」と明るい表情を見せる。

昨季所属のV・ファーレン長崎では出番に恵まれず、悔しいシーズンを送っていただけに「サッカー選手としてプレーできる場を作ってくれた新潟には感謝しかない。開幕が楽しみ。最後にはJ1昇格をサポーターと喜び合えるよう頑張る」と意気込んだ。【小林忠】

◆大本祐槻(おおもと・ゆうき)1994年(平6)9月24日生まれ、滋賀県出身。野洲高、阪南大から17年岐阜に加入。徳島、長崎を経て今季から完全移籍で新潟加入。J1通算7試合出場。19年リーグ、カップ戦8試合出場2得点。J2通算65試合出場4得点。背番号は「24」。176センチ、67キロ。