アルビレックス新潟が快勝で20年のスタートを切った。ザスパクサツ群馬を3-0で破った。

後半37分にFW渡辺新太(24)のチーム今季第1号で先制すると、その4分後にMFロメロ・フランク(32)が新潟で初得点、後半43分にはFWファビオ(22)が来日初ゴールを決めた。守備も被シュート1本に抑え、アルベルト監督(51)の初陣を飾った。

新潟は第2節(3月1日)、松本山雅FCとアウェーのサンプロアルウィンで対戦する。

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一気呵成(かせい)の攻撃は、わずか6分間の出来事だった。0-0の後半37分、口火を切ったのは渡辺新だ。「トラップせずに狙おうと思った」。味方のフリーキックのクリアボールを待ち構えるようにしてボレー。決まると同時にベンチから飛び出したチームメートのもとに走った。

得点の前に2本放ったシュートはいずれも外れた。「その分、思いきり狙った」という会心の1本。「チームの勝利が何より」と言うが、「開幕戦で得点が欲しかった」というのも本音だった。プロ3年目で初の開幕スタメン。希望通りのゴールは勝ち点3に直結した。

続いたロメロにとっても欲しかった得点だった。先制点を挙げた渡辺新からのパスを豪快に押し込むと、そのままゴール裏のサポーターのもとに走った。「まず、サポーターに感謝したかった」。J1時代の17年にも新潟に在籍したが、このときは11試合の出場で無得点。当時を知るサポーターへの恩返しをゴールで示した。22日は長男ルミエル律君の誕生日で「プレゼントできた」と喜んだ。

ダメ押し点を決めたファビオは3年前に27歳で亡くなったおじのクラウデミさんに来日初得点をささげた。後半21分に出場すると速さを生かして裏を狙う。ピッチに入って22分後、GKとの1対1をものにした。ゴール後、クラウデミさんの名前を刻んだ右腕をサポーターに掲げる。プロテストに付き添うなどいつも支えてくれた存在だったといい、「毎年シーズンの最初のゴールはおじさんのもの」。今季は日本からゴールを天国に届けた。

快勝で初陣を飾ったアルベルト監督(51)は「難しい試合だった」。この日の風速は7メートル以上。前半は向かい風、後半は追い風。「展開が大きく変わる中、後半は幅を取った攻撃ができた」と一定の評価をした。何よりアウェーに駆けつけた6000人の新潟サポーターに感謝した。「この勝利は彼らのもの」。最高のムードで勝ち点3を手にし、新生アルビが発進した。【斎藤慎一郎】

○…GK小島亨介(23)が開幕初先発で勝ち点3に貢献した。強風の中、得意のキックで巧みにボールを前線に送り、守備陣には的確に指示。前日22日は胃腸炎で練習を休んだ。この日も体調は万全ではなかったが「背後のケアなどを意識した」と冷静だった。群馬出身のMF秋山裕紀(19)も開幕初先発。攻撃参加に要所でのパスと持ち味を披露。「地元での開幕戦に出ることが支えてくれた人たちへの恩返し」と気持ちを込めてプレーした。