ガンバ大阪でJ3に参戦するU-23森下仁志監督(47)が14日、オンライン取材に応じ、売り出し中のFW唐山翔自(とうやま・しょうじ、17)の秘話を明かした。

12日のルヴァン杯湘南ベルマーレ戦で、トップチームの宮本恒靖監督(43)が指揮し、J1の公式戦デビューとなった唐山が、いきなり2発で勝利に貢献した。現在はU-19日本代表候補で、近い将来のA代表入りも期待される新星だ。

まずは17歳の2得点デビューについて、23歳以下の若手を預かる森下監督は「本人はまだまだ納得していないと思うが(背後に)抜け出したり、自分で仕掛けて点が取れている。いい順序を踏んで、J1(の公式戦)でも取れている」と評価した。

178センチで身体能力が高く、ウラへ抜け出す速さや準備、正確なシュート力が今季、どんどん成長している。その上で昨年から指導している過程で、指揮官は1つのエピソードを明かした。

「(唐山)翔自が一番、サッカーに対してすべてをささげて打ち込んでいる。思うように、いかないことがたくさんあって、涙を流しながら踏ん張ってやっている姿も見ているので、その日常があるからこそ(湘南戦のように得点できる)ボールがきた」

湘南戦後の記者会見で、本人は「(運を)持っている」と話したが、森下監督は「(努力しているから)持っている人間になれる。何もしないでなっているのではない」と断言した。

唐山は現在高校3年ながら、下部組織から飛び級で今季、プロ契約を結んだ。高2だった昨年、U-17W杯に日本代表として全4試合に出場し、J3でも10試合8得点。今季もJ3では開幕から全9試合にフルタイム出場中で4得点。9月に18歳になる若さとはいえ、無尽蔵のスタミナも発揮している。

7月22日のサンフレッチェ広島戦で、初めてJ1リーグ戦でベンチ入りしたが出番はなかった。今回の湘南戦は既に1次リーグ敗退が決まっていたことで、主力を休ませ、J3を主戦場にしている唐山ら若手に出番が回ってきた。

「(FWは)心の準備が一番大事。点が取れない、シュートが打てないと思い、そこで(心が)揺さぶられると悪循環にはまる。湘南戦の翔自はシュート2本で2点。例えば89分間活躍できていなくても、最後に点を取れば称賛されるポジション。心をコントロールできれば半分以上は成功できる。素晴らしい精神力だと思う」

唐山は16日のJ3、YS横浜戦(ニッパツ)に出場予定で、J1リーグ戦は19日に浦和レッズ戦(パナスタ)もあり、状況次第ではJ1とJ3を掛け持ち出場する可能性もありそうだ。10月開幕のU-19アジア選手権(ウズベキスタン)に出場するU-19日本代表入りも濃厚で、今夏以降はさらに唐山の名前が知れ渡ることになる。【横田和幸】