愛媛FCが待望の今季初勝利を飾った。クラブは和泉茂徳前監督の成績不振による辞任を7日に発表。コーチから昇格した実好礼忠監督(48)が就任2戦目、開幕8戦目で初勝利をもぎ取った。

前半15分にFW吉田真紀人(28)が奪ったゴールが決勝点になり、守備陣は失点を許さなかった。

昨季はJ2京都サンガで指揮していた実好監督は「ファン、サポーターの方たちと喜べたこと、まだ喜んでいる最中でもあるけど、とてもうれしい。試合の中では先制して、そこから守備に回った形はすごくストレスのあるものだった。でも、そこでみんな耐えて、声を掛け合ってやってくれた。最後まで集中を切らさずに戦ってくれた」と選手をたたえた。

前監督からバトンを受けたのは、開幕から2分け4敗と22チーム中で唯一未勝利の最下位に沈んでいた6戦終了時。初采配となった前節ファジアーノ岡山戦は2点差を守り切れず、試合終了間際の失点で痛恨のドローに終わっていた。

それでも、実好監督の真骨頂である前向きさは失わなかった。この日の試合前には「これぞ積極的、というプレーを攻守でイメージして試合に入ってくれと伝えた」という。試合後は「それぞれがプレーに関わろうとする積極性は、よかったと思う」と話した。

現役時代の実好監督はガンバ大阪の名DFで一時代を築いた人物。生まれは愛媛・南宇和郡で、名門・南宇和高時代は高校選手権で全国優勝した。立命大を経てG大阪に進み、長い指導者生活の中で愛媛と縁があり、今年から故郷に戻ってきた。

初勝利を挙げても最下位からは抜け出せていないが、8試合を終えたばかり。全42試合を戦う長丁場のシーズンで、愛媛にとって逆襲の時間はたっぷりある。