J2ベガルタ仙台が執念のドローに持ち込んだ。モンテディオ山形をホームに迎えた「みちのくダービー」で1-1の引き分け。前半33分、今季苦手にしているセットプレーから先制点を献上。それでも、後半40分、FW中山仁斗(30)が左足で同点ゴールをたたき込み、価値ある勝ち点「1」を手にした。次戦は7月2日、アウェーでFC町田ゼルビアと対戦する。J1昇格争いに生き残っていくためにも、直近4戦遠ざかる勝ち点「3」をつかみにいく。

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本拠地に集まった約1万5000人の観衆を、中山が沸き立たせた。右こぶしを突き上げる。雄たけびも上げる。閉塞(へいそく)感を吹き飛ばす、試合終了間際に決めた同点ゴール。スタジアム全体を熱狂の渦に包んだ。「雰囲気は最高でしたね。しびれました」と興奮を隠さなかった。

敗色ムードが漂い始めるも、諦めない執念が1点を呼び込んだ。後半40分だった。MF遠藤康(34)が左のペナルティーエリアから絶妙なパスを供給。FW皆川佑介(30)が左ダイレクトボレーでゴール枠内を捉えたが相手GKにはじかれる。そのこぼれ球に中山が反応。左足で勢いよく流し込んだ。「ミナ(皆川)がしっかり合わせてくれて、こぼれ球を押し込んだだけです。僕の得点というよりも、それ(ゴール)までの流れが良かった。チームのゴールだと思います」と振り返った。

ドローに持ち込んだことは大きいが、本音を言えば、勝利をサポーターに届けたかった。中山は「最後、追いつくことができたけど、やっぱり勝ちたかった」と言葉を振り絞った。前半の立ち上がりから決定機は何度もつくった。それでも1点が遠い。最後の精度が足りなかった。前半33分にはセットプレー(FK)から失点。C大阪との天皇杯3回戦でも同プレーから2失点を喫していた。原崎政人監督(47)は「セットプレーでやられていることは、反省して修正していかないといけない」と改善点を口にした。

4戦勝利が遠ざかる。次節はアウェーで町田と対戦。中山は「雰囲気は悪くない。練習でも選手同士で要求しながらできている。あとは結果、しっかり勝ち点3を取って帰ってきたいと思います」。J1昇格争いで生き残るために-。仲間を信じ、クラブ一丸で1戦1戦に全力を尽くす。【佐藤究】