自己記録10秒07の多田修平(24=住友電工)が10秒22(向かい風0・5メートル)で初優勝を飾り、復活への手応えをつかんだ。中盤までにリードを奪って危なげなく逃げ切り「今シーズン初めて優勝できて、素直にうれしい。やっと長いトンネルから抜け出した感覚です」と振り返った。

関学大時代の17年日本学生個人選手権で追い風参考記録ながら9秒94を記録。日本選手権で2位に入り、世界選手権に出場するなど大きく飛躍した。当時から体重は1~2キロ増え、筋肉の使い方に試行錯誤。18、19年は苦しんだが「2017年のスタートから中盤に、徐々に戻ってきている。来年は9秒台で走りたい」と自信をつかみ、今季最終戦を終えた。

今月2日の日本選手権(新潟)決勝では10秒34で5位。予選、準決勝と充実した走りだっただけに、この日も「日本選手権で負けて悔しかった」と何度も繰り返した。「11、12月に土台を作って、キレを出したい」。東京五輪イヤーとなる来季へ、大切な冬を無駄にできない。【松本航】