五輪切符だけでなく、歴史も塗り替える。東京五輪代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権長距離種目は4日、大阪・ヤンマースタジアム長居で行われる。女子1万メートルに出場する新谷仁美(32=積水化学)は3日、会場のサブトラックで調整し、「日本記録を出して、世界と戦うためのレース展開をしたい」と語った。

参加標準記録(31分25秒0)は突破済みで優勝すれば、五輪代表に内定する。だが、勝負だけに徹するつもりはない。視線は世界の強豪に向いており、勝つのはもちろん、02年に渋井陽子が出してから18年以上も破られていない日本記録30分48秒89を見据えた。

今年はハーフマラソン日本新、5000メートル日本歴代2位、全日本実業団対抗女子駅伝3区の区間記録を1分10秒更新。圧倒的な強さを見せるが「自信につながることは一切ない」。14年に1度は引退したランナーは自らメンタルは弱いと分析する。そして、結果への執着心は人一倍強いから、レース前は不安に襲われる。この日も同じ。「今は恐怖でいっぱい」と吐露した。その上で「東京五輪とか関係なく、大会でのミスは一切許されない」と覚悟を示した。【上田悠太】