東京オリンピック(五輪)代表の岡田久美子(29=ビックカメラ)が、7連覇を阻まれた。

トップを守っていた15キロ地点。ピタリと背後についていた同じく東京五輪代表の藤井菜々子(21=エディオン)にかわされ、追いつくことができなかった。1時間31分51秒で、1分6秒差の2位。日本女子競歩の女王の座を譲り渡した瞬間だった。

「負けちゃいました。連覇を意識し過ぎて、自滅した。これまで、自分が(日本女子競歩を)引っ張っていかなきゃという、変なプレッシャーを感じていたので、(負けて)ホッとしている部分はある」

声を詰まらせながら語った。19年世界陸上ドーハ大会は岡田が6位、藤井が7位。実戦で前を行かれたことはなかった。藤井については「才能がありながらも、おごらず、どんどん強さを求める」と実力を認めていた。

この日、追い抜かれたことに「15キロで初めて(追い越される日が)『来た』と思った」と振り返った。

その藤井にとっては、岡田は目標とする選手だった。初優勝後、藤井は「岡田さんが積み上げてきたものは、1枚も2枚も上。これからも、切磋琢磨(せっさたくま)して、オリンピックでも勝負したい」と語った。

五輪本番まで残り5カ月。岡田は「入賞を目指して、男子に負けないように結果を求めたい」と顔を上げ、誓った。【南谷竜則】