悔しさあふれる3度目のマラソンとなった。宮城・大崎市出身の佐藤早也伽(27=積水化学)は、2時間24分47秒で6位入賞した。2年前に打ち立てた2時間23分27秒の自己ベスト更新はならずも、24年パリ五輪代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」の出場権は獲得。今夏の世界選手権(米オレゴン州)への派遣設定記録(2時間23分18秒)突破は逃した。

   ◇   ◇   ◇

自分超えはならずも、持てる力を振り絞った。佐藤は悔しそうな表情を浮かべて6位でフィニッシュ。「今日のレースは自分が予定していた後半のペースアップができずに、目標タイムも更新できず、まだまだ力不足を感じたレースでした」。5キロのラップでは30キロから35キロで、この日最速の16分49秒をマーク。ただ、その後の35キロから40キロは18分20秒と大失速した。

過去2度のマラソンは第1集団につき、いずれも後半からペースダウンした。その反省を生かし、今大会は2時間22分03秒から同45秒を目指す第2集団につけ、30キロからペースアップする作戦だった。しかし、大会2週間前に負傷。練習を積めなかった影響もあり、悔しい結末を迎えた。

2年前に42・195キロに初挑戦した。1500メートルから1万メートルまで幅広くこなす万能ランナーで、トラックが主戦場だったが、20年3月の名古屋ウィメンズで5位。初マラソン日本歴代6位の2時間23分27秒を刻み、昨年3月の同大会も2時間24分32秒で2位とマラソン適性を示した。

今季は3000メートル、5000メートルで自己ベストを更新した。そして、積水化学では同11月の全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)で、エース区間の3区(10・9キロ)を任されて区間2位と快走。4人抜きで5位から首位に押し上げ、初優勝の原動力になった。

走ることが大好きな少女だった。小学校の持久走大会では毎年のように優勝し、親の勧めで中学から陸上部に所属。高校時代は全国高校総体、全国高校駅伝とは無縁で、大学時代も無名に近かった。「一番伸びたのは実業団に入ってから」と言い切るように積水化学入社後に急成長。世界大会出場を狙えるまでになった。「ギリギリ、MGCの出場権を獲得できたので、これからの練習を頑張りたいです」。佐藤の挑戦はまだまだ始まったばかりだ。【山田愛斗】

◆佐藤早也伽(さとう・さやか)1994年(平6)5月27日生まれ、宮城県大崎市出身。鹿島台第二小、鹿島台中、常盤木学園、東洋大を経て17年に積水化学入社。自己ベストは1500メートル4分27秒25、3000メートル8分52秒43、5000メートル15分08秒72、1万メートル31分30秒19、ハーフマラソン1時間9分27秒、マラソン2時間23分27秒。マイブームは「うさまる」。家族は両親と兄、弟。156センチ。