日本記録保持者の久保凛(16=東大阪大敬愛高)が予選全体1位の2分4秒53で、29日(日本時間30日)の準決勝へ進出した。スタート直後で飛び出し、1度も先頭を譲らずにゴール。サッカー日本代表の久保建英(23)のいとことしても知られる高校2年生が、初の海外レースで攻めの走りを見せた。

今季は6月の日本選手権を初制覇し、7月に19年ぶりの日本新となる1分59秒93を記録。来年9月の世界選手権東京大会を目指すホープが、日本勢初の金メダルへ突き進む。

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初の海外レースでも、いつも通りに攻めた。号砲が鳴ると、久保は上半身のブレが少ない走りでぐんぐん加速。身長167センチと海外勢にも劣らぬ体格を生かし、大きなストライドで駆け抜けた。「前半から積極的にレースを進めて、ラストスパートは絶対に負けない」とイメージした通り、2着のアレリ(エチオピア)に0秒23差。目標の金メダル獲得へ向け、第1関門を突破した。

いとこの建英と同様に、動じない性格が大きな武器となっている。シーズン当初は「久保建英のいとこ」と注目されたが「あまり気にしていない」とサラリ。周囲からの期待が高まっても「特に緊張しない」と言い切り、どのレースでも序盤から積極的に攻め続けた。

今季は6月の日本選手権で憧れの田中希実らを抑えて初優勝し、同7月には日本新記録を樹立。「建英のいとこ」ではなく、実力でその名をとどろかせている。

かつてはサッカー少女。小1から地元・和歌山の串本JFCでボールを蹴り始めた。転機となったのは小学校高学年の頃。祖母の勧めで出場した地元の駅伝大会で区間新記録を樹立し、潮岬中で本格的に陸上を始めた。

1チーム11人でピッチを駆け回るサッカーと異なり、陸上は個人競技。「自分との闘い」の面が強いと感じている。ただ「駅伝などのようにチームで支え合う面もあって、サッカーと似ているところもある」と、自分の走りで仲間と喜びを共有できる点に魅力を感じ、進歩を重ねてきた。中3時には全日本中学校選手権800メートルで日本一に輝いた。

800メートルは海外勢との差が大きく、これまで日本女子の五輪出場は3人にとどまる。将来は1500メートルや5000メートルへの挑戦を視野に入れつつ「800メートルで五輪や世界で通用する選手になりたい」と今はこの種目にこだわる。

来秋の世界選手権の参加標準記録までは0秒93。「今大会で(標準記録を)突破したい。自己ベストと優勝へ全力で取り組みたい」。準決勝以降も攻めの姿勢を貫き、目標をかなえてみせる。

◆U20世界選手権とは 世界陸連主催の20歳未満の世界大会。1986年に創設され、2年ごとに開催。日本はこれまで金7個、銀15個、銅31個の計53個のメダルを獲得。金メダリストには男子200メートルの飯塚翔太(10年)、男子走り幅跳びの橋岡優輝、女子3000メートルの田中希実(ともに18年)らがいる。800メートルで金メダル獲得となれば、男女ともに日本勢初となる。