W杯個人総合女王の高梨沙羅(20=クラレ)が、銅メダルを獲得した。1回目98メートルで2位、2回目は95メートルで2回合計251・1点。五輪、世界選手権の2大大会で5度目の挑戦だったが、またしても優勝には届かなかった。伊藤有希(土屋ホーム)が2大会連続で銀メダルを手にした。14年ソチ五輪の覇者カリーナ・フォクト(ドイツ)が連覇した。

 高梨の目から涙がこぼれ落ちた。11年オスロ大会(ノルウェー)で初出場してから14年ソチ五輪(4位)も含め、2大大会で5度目となる金メダルへの挑戦も、銅メダルにとどまった。またしても大一番で結果を残せなかった。4度のW杯個人総合女王に輝きながら届かないビッグタイトルに「悔しいというより自分に落胆している。またやってしまったかと情けない。大事な大会で力を出していくことが一番足りないところ」と目を赤く腫らし自分を責めた。

 1回目98メートルで2位。首位との差は飛距離に換算して約1・5メートルと逆転を射程圏に入れていた。ただ、ラハティは強い風が激しく吹き荒れるジャンプ台。2回目は高梨のスタートで風が変わった。不利な強い追い風を空中で受けた。左手を引いて必死に抵抗したがヒルサイズ手前の95メートルでぽとんと落ちた。「屋外競技で風は言い訳にはならない。ここにピークに持ってくるためにやってきたが力不足」と悪条件を言い訳にはしなかった。

 ラハティは小4で自身が初めて海外合宿を行った思い出の場所。会場の隣にあるスモールヒルを飛びながら見つめた海外選手のジャンプにいつか自分もと胸を高ぶらせた。そこから、強い思いを持って何度も挑戦し、世界トップにまで駆け上がった。

 大事な試合で勝てないイメージを今大会で払拭(ふっしょく)できず、来年の平昌五輪に課題を残したとはいえ、「根本から見直して改善していきたい」と戦う姿勢は崩さない。26日には混合団体に出場する。女王は輝くメダルへ何度でも挑んでいく。【松末守司】