パワー不足の不利を抱えるマクラーレン・ホンダにとって、最もポイント獲得のチャンスが大きいと期待される市街地レースのシンガポールGPだが、予選では8位・9位と2台そろってQ3に進出して所期の目標は果たしたとフェルナンド・アロンソは語る。

 「ここはオーバーテイクが難しいから、1周目が終わった時点から順位はそれほど変わりはしないだろう。だからポイントを獲るためにはトップ10からスタートすることが重要だし、今日2台そろってQ3に進めたことで仕事の半分は果たせたと言える。あとはスタートに集中して、あとはミスを犯さずそのポジションを守ることに集中するだけだ」。

 しかしトップからのタイム差は1・688秒。パワーの有無がラップタイムに与える影響が10kW(約13.6馬力)あたり0・1秒程度と小さいことを考えると、予想以上にこの差は大きかった。ルノーのニコ・ヒュルケンベルグに7位を奪われ、いつもは車体の優秀さを誇るマクラーレンのエリック・ブリエ(レーシングディレクター)も「シンガポールはGPS信号が弱く正確な分析は難しいが、車体性能では4番目」と認めざるを得なかった。

 ホンダの長谷川祐介F1総責任者は、今季限りでの提携解消が決まったが「最後まで1ポイントでも多く獲得するためパフォーマンスを最優先に全力を尽くす」とマクラーレン側の現場技術陣と意思確認済みで、シンガポールGPでもダブル入賞を目指すとした。

 「正直言うと、もう少し上に行けるかなという気持ちはありました。ルノーにまた上に行かれてしまったのも残念です。ここは非常に抜きにくいのでスタートとピット戦略が重要になると思いますが、基本的なペースは問題ないと思っていますし、2台そろってポイントを獲得すべく最善を尽くします」。(米家峰起通信員)