悔しさの残る初優勝だった。全日本体重別選手権準優勝の能智亜衣美(21=筑波大)が決勝で佐藤史織(21=山梨学院大)を破り、初優勝した。

 延長2分過ぎ、指導2を受けていた佐藤の反則による「反則勝ち」で勝利を収めた。能智は終始、低い姿勢で攻め続ける佐藤に得意の足技を出せずに苦しめられた。試合後「内容としては最悪。思っていた動きが全く出来なかった。不完全燃焼です」と振り返った。

 今夏の世界選手権では1度は決まった団体戦代表が、6月に20年東京五輪を見据えての男女混合団体のみの実施となり、63キロ級が当該階級でないため外れた。「『(大会を)なんでテレビで観ないといけないの』『なんでそこに自分がいないの』という思いでした。同級生の(48キロ級金メダルの渡名喜)風南や(57キロ級銀メダルの芳田)司らの身近な人の活躍を見ると、より『なんでかな』と…。本当に情けないです」。涙声で当時の心境を思い返した。

 そんな時、同じ大学で同階級の津金恵(21)の存在が大きかった。津金も能智とともに世界選手権の団体戦代表であったが、外れた。「めぐ(=津金)も落ち込んでいて、2人で『なんでだろう』と言っていました。それでも次の大会に向けて努力している姿を見て『私も頑張ろう』という気持ちになりました。めぐは絶対に負けたくない相手だけど、力を与えてくれる存在でもあります」。3連覇が懸かる11月の講道館杯については「しっかりと勝ちきって、(来年の世界選手権代表が内定する)12月のグランドスラム東京につながるようにしたいです」と力を込めた。