世界ランキング11位の日本代表が、W杯3度の準優勝を誇る同8位のフランス代表に23-23で引き分けた。世界屈指の強力FWを擁し、過去9戦全敗の格上に後半は一時リードするなど、互角の戦いを演じた。惜しくも歴史的勝利は逃したが、19年W杯日本大会で8強入りを目指すジョセフジャパンが確かな手応えを得て、17年シーズンを締めくくった。

 壮絶な戦いだった。23-23。ノーサイドの瞬間、地元フランスに浴びせられた観客2万3000人の大ブーイングが、日本の健闘を証明していた。序盤から強力FWのタックルを受けながらも前へ前へ。今秋から導入した防御ラインを素早く前進させる「高速ディフェンス」も機能し、パスを巧みにつなぐフランス伝統の“シャンパンラグビー”を封じた。フランカーのリーチ主将は「2年後のW杯を見据えて誇れる試合だったが、満足はしていない。ここからがスタート」と気を引き締めた。

 前半5分のSO田村のPGを皮切りにシーソーゲームが始まった。従来のキックを多用する攻撃から本数を減らして、有効的に活用する戦術に変更。前半を8-13で折り返し、後半33分にはプロップ、ヴァルのトライで同点に追いついた。田村がゴールを左に外して逆転はならなかったが、W杯3度準優勝のフランスと互角に戦った。

 善戦の裏には代表の一体感があった。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC、48)は自主性と協調性を重んじてチームづくりをしてきた。10月からの秋合宿は過去最長の約5週間。選手との関係を深め、フランス遠征では非公開練習で戦術を落とし込んだ。23~32歳の選手がいる中、年齢問わず意見も求めた。「準備が全て」というように選手も動画で相手を分析。オンとオフも大切にし、週1回はチームディナーを設けた。選手は21日のジョセフHCの誕生日には好物の刺し身とすしをプレゼント。自然とチームスローガンである「ONE TEAM」となっていった。

 指揮官は「引き分けは残念だが、勝てる内容だった。(W杯に向け)よい土台ができている」と手応えを口にした。本番で8強を狙う上で課題は山積みだが、ジョセフジャパンが1歩1歩前へ進んでいる。【峯岸佑樹】