史上最強軍団が平昌に向かう。日本スケート連盟は30日、男女8人ずつ合計16人のスピードスケート平昌(ピョンチャン)五輪代表を決定。金メダル候補の高木美帆(23=日体大助手)、高木菜那(25=日本電産サンキョー)が初めて姉妹での五輪出場を決めた。

 高木姉妹の熱い冬が始まる。並んで座った代表発表会見。気持ちを伝えたい相手を聞かれた菜那は「両親」と答え、思いを続けた。「2回続けてどちらかが五輪に出て、どちらかが出られなかった。親は喜びたいけど気を使うし、楽しんで見てもらえる状況ではなかった。今回は結果を残して『ありがとう』と言いたい」。

 始まりは8年前のバンクーバー五輪代表選考会だった。当時15歳だった美帆が驚異的な滑りを見せ、史上最年少の15歳で代表切符を獲得した。2歳上の菜那は、妹が五輪で滑る姿を現地で観戦。声援を送りつつも、「心の中では悔しい思いが強かった」。何度も妹についての質問を受け、「美帆の姉」として扱われることに不快感を示した時期もあったが、ソチ五輪を明確な目標に掲げ、滑りを磨いた。

 4年後のソチ五輪選考会では、正反対の運命が待っていた。五輪切符を獲得した姉に対し、不調にあえいだ美帆がまさかの落選。精神面の甘さを痛感すると同時に、五輪への執念を見せてきた姉の姿に大きな刺激を受けた。「すべてをスケートにかける」。それまで以上に勝利にこだわるようになり、平昌五輪での巻き返しを誓った。

 今季のW杯では、姉妹ならではの呼吸を生かし、団体追い抜きで世界記録を2度更新するなど、大きな期待の中で決戦の地・平昌に入る。日本のエースに成長した美帆は「4年間たってやっと五輪にいける。パシュート(団体追い抜き)で金メダル、個人種目でも今まで以上の戦いをしたい」と力を込めた。2人の物語は、ここからが本番だ。【奥山将志】