日本女子として初めて、3月18日に閉幕した4大大会に次ぐ格のBNPパリバオープンを制覇。自己最高の世界21位に躍進した大坂なおみ(20=日清食品)が、5月27日開幕する全仏オープン(パリ)に向けたクレー(土)コート・シーズンをスタートさせ、初戦をストレートで勝ち上がった。

 大坂は、ツアー本戦の通算勝敗数が、この日の勝利を含め、55勝44敗。その内、大半がハードコートでの試合で勝敗数は46勝33敗だ。クレーはわずか12試合目で5勝7敗。大坂のパワーテニスは、クレーで通用するのか。この日のプレーを見る限り、答はイエスだろう。

 まず、ツアー優勝を飾った経験と自信は大きい。ポイントやゲームをリードされても、決してあわてない冷静さは、昨年までは見られなかったタフさだ。自分のプレーをすれば、ある程度、勝てる勝算があるのだろう。

 加えて、女子テニスのプレースタイルの傾向が、大坂に味方する。クレーは、バウンドしてからの球足が遅く、ポイントが簡単に決まらない。点を取るために、さまざまな球種やショットを使い、引っかき回すプレーが要求される。

 しかし、女子テニスも男子テニスに負けず劣らず、球を強くひっぱたくパワーを中心としたスタイルが増えてきた。パワーでの打ち合いなら、大坂は決して引けを取らない。逆に引っかき回される方が嫌だ。この日も、相手は打ち合いに挑むタイプ。ただ、試合中に3本のドロップショットを放ち、その2本が決まっていた。

 このように、多彩なショットをまんべんなくちりばめられる方が、大坂にとっては嫌なはずだが、そのようなタイプは減りつつある。大坂が優勝したBNPパリバオープン決勝で対戦したカサキナ(ロシア)は、その様なタイプ。ハードコートで勝てても、クレーで対戦すれば強敵になる。

 今季2戦目の4大大会、全仏に向けて約1カ月半。大坂が、最もタフと言われるコート、赤土を制することができるのか。注目が集まる。