アルバルク(A)東京が東地区王者の千葉ジェッツを85-60で破り、Bリーグの2代目王者に輝いた。日本バスケットボール協会技術委員会アドバイザーだったルカ・パビチェビッチ監督(49)が今季から指揮を執り、厳しい練習で緻密なバスケを追求してきた成果が結実。女優の広瀬アリスと交際中のエース田中大貴(26)はCS準決勝で負った左太もも肉離れをものともせずに15得点を挙げ、MVPに輝いた。

 A東京の優勝を告げるブザーが鳴り響くと、普段はクールな田中が表情を緩ませた。準決勝で左太もも裏を痛めた影響を感じさせなかった。30-31で迎えた第2クオーター(Q)残り2分40秒。田中のレイアップシュートを皮切りに逆転すると、そこから馬場、安藤が続き、10点差に広げた。「守備の勝利だと思う」と言う通り、最後まで堅い守備を緩めず、千葉の得意とする速攻を封じ込め、追随を許さない完勝だった。

 今季から指揮を執る闘将がチームに求めたのは、守備の激しさと緻密な攻撃システムだった。田中が「完璧主義者」、竹内が「聖徳太子の目バージョン」と苦笑いするほど、選手に対して丁寧に向き合った。田中は「試合前に1時間立ったままポジションの確認をすることもあって、正直これで良いのかと立ち止まる時もあった」と振り返った。個人技頼みだった昨季の戦術から脱却し、「タレント軍団」が1対1を起点に連係を徹底して結果を出した。

 パビチェビッチ監督は「若い選手が多いし、まだまだ伸びる」ときっぱり。飽くなき向上心で、常勝軍団を目指す。田中も「監督の下で練習にも耐えて、結果が出てうれしい」と人生初のビールかけに喜びを爆発させた。【戸田月菜】