世界28位の錦織圭(28=日清食品)が、2年ぶり3度目の16強入りだ。同18位で第15シードのニック・キリオス(オーストラリア)に6-1、7-6、6-4のストレートで勝ち。「サーブとリターンは、ベストの日だった。すべてがうまくいった」と、勝利の瞬間、何度もガッツポーズをつくった。4回戦では同138位で予選勝者のガルビス(ラトビア)と対戦する。

 夕闇が迫る第1コート。時間は、通常のタイムリミットの午後9時を回った。日没順延となれば、翌日の8日、日曜は休養日で試合がない。9日の月曜まで再開しない。ぎりぎりの午後9時4分。4本目のマッチポイントで、キリオスのフォアがネットし、錦織は両手を突き上げた。

 第1セットは第1サーブが85%も入り、キリオスの最速時速約217キロのサーブには、リターンが約70%も入る最高の滑り出しだった。「かなり(相手のサーブのコースの)読みが当たった。リターンがカギだと対策を練っていた」。リターンさえ入れば、得意なストローク戦に持ち込め、キリオスにプレッシャーをかけた。最後まで集中が切れずに、そのプレッシャーをかけ続けた。

 自身初めてウィンブルドンで16強入りをした14年に嫌な思い出があった。この日と同じように1週目の土曜の3回戦が遅くなり、最終セット3オールで、日没順延になった。中日の日曜も緊張を維持しなくてならず、月曜に勝った後、「本当に苦しい3日間だった」と話していた。この日も「絶対に月曜になると思っていた。でも、早く終わらせたいと思っていた」。それだけ集中したのかもしれない。

 次戦は、同3位のA・ズベレフ(ドイツ)を下したガルビスが相手だ。故障で世界ランクを落としてはいるが、14年には自己最高の10位になった逸材だ。対戦成績は錦織の2勝0敗だが、決して油断はできない。それでも、自身初のウィンブルドン8強が見えてきたことは事実だ。

 もしベスト8入りすれば、4大大会すべてで8強以上の成績を収めたことになり、日本男子初の快挙となる。