男子組手84キロ超級は世界ランク16位の香川幸允(31=テアトルアカデミー)が、国際大会の最高峰プレミアリーグで初優勝した。決勝は同9位ゴギタ・アルカニア(ジョージア)に2-0で快勝。来月の世界選手権(11月8~11日、スペイン)に弾みをつけるとともに、20年東京オリンピック(五輪)で1階級に統合される84キロ以下級の世界1位荒賀龍太郎(27=荒賀道場)との代表争いに名乗りを上げた。

日本チーム最年長の最重量級のエースが31歳にして悲願を達成した。香川は「相手は踏み込んでこないタイプ」と見極め、得意のカウンターの突きで得点を重ねた。前日の2時間のビデオ分析が生きた。代表歴10年。「いろんな外国人と戦ってきた経験が出せた」。192センチの大男が汗を滴らせながら言った。

地元東京大会で4000人の観客が詰め掛けたが、男子重量級は84キロ級の荒賀が敗退し、決勝に進出した新鋭の嶋田も敗れた。それだけに日本代表の林晃監督も「今まで後手に回っていたが気持ちを前に出して攻めていた。世界につながる戦いをしてくれた」と絶賛した。

長期戦に耐えられる体をつくってきた。先月のドイツ大会の1回戦敗退が転機になった。120キロあった体重を113キロまで減量。好物のラーメンを絶ち、白米を抜いて糖質を制限し、朝晩に走った。「今大会は体力負けが減って、後半まで腰を落とせるようになった」。いずれは100キロ以下まで落とすつもりだ。憧れの体は、サッカーのポルトガル代表クリスティアノ・ロナウドという。

4大流派の1つ、松濤館流の首席師範で帝京大で師範を務める政夫さん(63)を父に持つ。空手を本格的に始めたのは15歳と遅かったが、その良質の素材は長い時間をかけて開花の時を迎えようとしている。20年東京五輪では階級が5から3に減るため、1階級下の荒賀と75キロ超級で1つの代表枠を争う。「1人で争っても伸びないので、いいライバルになる」。16年に世界選手権を制した日本のエースを上回り、憧れの舞台に立つ。【佐藤礼征】

◆香川幸允(かがわ・ひでよし)1987年(昭62)8月14日、東京都八王子市生まれ。中学時代はバスケットボール部。15歳から空手を始める。学法福島高、帝京大を経て、大学卒業後は芸能事務所に就職。