福岡第一が2年ぶり3度目の冬の高校王者に輝いた。初優勝を狙った中部大第一(愛知)との決勝は、85-42と43点差をつけて圧勝した。素早い攻守の切り替えから松崎裕樹(3年)、河村勇輝(2年)らが得点を重ねた。先発5人全員が2桁得点をマークし、今大会は全試合で20点差以上をつけて優勝を飾った。

福岡第一が昨年4強の悔しさを晴らした。第1クオーター(Q)はともに競り合う中、迎えた第2Qに松崎が2連続で3点シュートを決め、勢いに乗った。さらに先発5人が満遍なく得点を重ねた。「日本で一番、練習の質も量もやってきた自信がある。やりきった」と充実感を口にした。

ライバルの思いも背負った。11月の福岡県予選決勝の相手は、1年前の準決勝で敗れた福岡大大濠。高校バスケ界をけん引する強豪同士。今年はどちらも全国総体の1位、2位に与えられる今大会の出場権を得られず、県予選から1枚の代表切符を争い、79-71の僅差で福岡第一が制した。

県予選後、チーム全体で「大濠のためにも」との思いを共有し、圧倒して勝つことをテーマに掲げた。学校前の30分間、午後のチーム練習、夜練習と3部構成のハードワークに、井手口コーチは「練習量も1・5倍になった」。先発5人を固定して連係を磨いた。

さらに強みの「走るバスケ」に加え、シュート力を磨いた。これまで夕食後の1時間は自由練習としてきたが、以降は全員参加のシュート練習に充てた。「ベンチ外メンバーもリバウンドのサポートに回ってくれて感謝しかない」と河村。外からのシュートを中心に、1カ月間みっちり打ち込んだ。この日の決勝で3本の3点シュートを決めた松崎は「シュートを打った自信があるから、思い切りよく打てた」。チーム全員で取り組んできたことが結果に表れた。

松崎は東京まで観戦に来た福岡大大濠のメンバーから「圧倒して」と声援されたという。ライバルの思いに応えるプレーで「最後の試合で一番良いバスケができた」。練習は裏切らない-。井手口コーチの言葉を体現し、待ち望んだ覇権を奪還した。【戸田月菜】