早大が6度目の出場も初の大学日本一はならなかった。2年連続で最多優勝の関学大と対戦し、第1Qに逆転のTDランで初めてリードした。第3QにもQB柴崎-WRブレナンと4年生ホットラインで、3本目のTDパスを決めて2度目の逆転。それでも28-38での敗戦。6度未勝利は明大を抜くワーストとなった。

FGで先制されたが2度目の攻撃で逆転した。RB荒巻のラン、ブレナンへのパスなどで攻め込む。ゴール前は今年の新兵器QB吉村が2ヤードを押し込む。早実出身の甲子園球児は高2の出場時は登板できなかった。念願の聖地を踏みしめ、仕事をやってのけた。

第2Qに逆転されて10点差をつけられた。ここから早大の2枚看板が関学大を何度も切り裂いた。前半残り3分あまりで柴崎からブレナンへパス。DBを置き去りにし、55ヤードのTDパスを見事に決めた。FGを追加されたが、前半を6点差で食い下がった。

後半早々にTDランでリードを広げられた。ここでブレナンの足がチームを生き返らせた。キックオフで75ヤードのビッグリターン。3プレー目にはエンドゾーン右コーナーでDB2人と競り合いもスーパーキャッチ。15ヤードの2本目のTDで5点差に肉薄した。

守備も奮起してFGに抑える。これが失敗すると、またブレナンだった。RB吉沢のランなどで敵陣に入ると、ブレナンが斜めに走り込んで29ヤードのTDパス。2度目の逆転で、第4Qでリードに持ち込んだ。3TDレシーブはMVPの関学大WR阿部を上回る、大会史上4人目の最多タイ記録だ。

2枚看板は負傷を抱えての出場だった。柴崎は3試合ぶり出場。利き手薬指を突き指していた。リーグ優勝を決めた法大戦で2ファンブルロスト。反省から次の練習ではボールをつかんだ手をダミーでヒットする予防練習で痛めた。

ブレナンは1週間前に、練習台になってくれたOBとの実戦練習で激突し、右足を痛めていた。その後は満足な練習ができていなかった。柴崎は痛み止めを飲んでのプレー。そんな状況をおくびに出さず、関学大をタジタジとさせ、追い詰めた。

昨年は敢闘賞に涙が止まらなかった柴崎は、晴れ晴れともしていた。「悔しいがやりきった感はある。勝てなかったのは関学大が強かったから。戦い方は残せた」と満足顔。自信を得て、来年2月には日本代表にも挑戦することにしている。

福岡生まれ、ハワイ育ちの日本人ブレナンは目標の2TDを上回った。「負けは悔しいが後悔はない。楽しかった」と笑みを見せた。来秋卒業予定で、こちらはNFLへ続く海外で挑戦する。翼の名前通りに世界へ羽ばたくつもりだ。

早大は作戦通りに後半勝負に持ち込んだが、関学大をなかなか止められなかった。残り6分あまりで再逆転され、FGの追加も許した。ラン、パスとも200ヤード以上を許した。LB池田主将は「後半最初の独走が痛かった。メンバーが1人足りなかった」と悔やんだ。「それもミス。スコア以上の実力差があった。守備が足を引っ張った」と振り返った。

昨年は前半で7-27とされて力負けから、今年は最後まで接戦した。勝負のライン戦でOLは、立命大に7QBサックした関学大DLに1度もサックさせなかった。高岡監督は「OLが頑張り、DLも成長を見せた。逆転して後半勝負には持ち込めた。残り3分まで可能性があった。大きく成長した」と選手をほめた。

前日には大阪市内での前夜祭を開催し、OB、OGが約100人集まって気勢を上げた。明大、立大と創部34年創部と日本最古のルーツ校の1つ。86年目にして9校目となる悲願はまたお預け。高岡監督は「リセットではなく積み重ねていく」と、7度目の正直を期した。