アメリカンフットボール日本選手権プルデンシャル生命杯「第73回ライスボウル」は1月3日午後3時、東京ドームでキックオフされる。4年連続5度目の出場で5度目の優勝を狙う富士通フロンティアーズと、2年連続13度目の出場で18年ぶり2度目の日本一を目指す関学大ファイターズによる2年連続4度目の顔合わせとなった。

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1992年の就任から28年、鳥内監督は日本の学生フットボールをけん引してきた。DBとKだった選手時代、日大に4連敗した甲子園ボウルには15回出場して12回優勝(97年の両校優勝1回を含む)。ライスボウルも2001年度に1回制し、日本一にも輝いた。今季を最後に勇退するだけに、ぜひとも有終の美を飾りたいところ。対戦発表会見では「ライスに負けた後の1年は暗いシーズンになるが、今回負けたら一生暗くなってしまう。1年目の人は負けてくれへんかな」と得意の鳥内節で、就任1季目の富士通山本HCをけん制した。

最後となる鳥内マジックも期待がかかる。甲子園ボウルの勝利監督インタビューでは「ライスボウルではおもろいことをやろうと思う」と話しており、どんなスペシャルプレーが飛び出すか、ワクワクせずにはいられない。

一方、対戦発表会見での鳥内節にタジタジだった富士通山本HCだが、静かに闘志を燃やしている。RB、WRとして富士通でプレー、2006年の引退後はRB、WR、TEなどのポジションコーチを歴任した。14年度にはアシスタントHCとして、ライスボウル初制覇にも貢献。17年からの2シーズンは米国サンディエゴ州立大にコーチ留学し、その戦術に磨きをかけてきた。

特長はその目配り。副将のOLB趙によれば「山本さんは本当に細かい部分を見てくれる」という。例としては「タックルの練習で1歩踏み込めていないと、こだわれと言ってくれる」とのこと。また、キッキングでも「不安なところを練習でつぶしてくれるので、すごく助かる」と厚い信頼を寄せる。

山本HCは「ヘッドコーチという立場で初めてライスボウルで試合をするが、大きな意識は持たずに、いい勝負をしたい」と平常心で臨む。その一方で「鳥内監督は戦術的に凝ったことをやるイメージがある。過去の試合でやられたことも含め、いろいろ想定していく。仕掛けがあることを頭に置きながら、ゲームプランを組んでいく」と対策にも余念がない。富士通はライスボウルで過去4戦4勝。無敗記録を伸ばして、オービックの持つ4連覇に並べるかも注目される。