東京・下北沢成徳高教諭でバレーボール部の小川良樹監督(65)が現役引退した同校出身の荒木絵里香(37)に感謝の言葉を贈った。逸材の荒木らとの出会いで勝利至上主義から、選手の将来を第一とする考えに変わった。

才能あふれる教え子と接するうちに、小川監督は目先の勝利にこだわって将来をつぶすわけにはいかないとの思いが強くなった。自主性を促す指導法に転換するきっかけになった。荒木の3年時には、同学年の大山加奈さんらと高校バレー3冠(インターハイ、国体、春高バレー)を達成した。結果も出たことで、手応えをつかんだ。

以来、卒業後の活躍を見据え、選手目線で育成するスタイルを確立。今では「競技人生において高校3年間はほんのわずか。通過点にすぎない」と考えるようになった。その後も同高から東京五輪代表の黒後愛、石川真佑ら多数のトップ選手を輩出した。「あの時の経験があったから」と、大きな気づきを与えてくれた荒木に感謝した。

小川監督は「絵里香は高校の時から長く現役を続けるすること、海外でプレーすることを口にしていました」。08年にはイタリアプロリーグセリエAへのベルガモでプレーし、その後結婚、出産を経て37歳まで現役を続けた。高校時代に教え子が宣言した2つの目標を成し遂げたことに、「家族の支えもあり、ブレずに有言実行できたことはとてもすごいことです」とたたえていた。【平山連】

◆荒木絵里香(あらき・えりか)1984年(昭59)8月3日、岡山県倉敷市生まれ。11歳でバレーボールを始め、成徳学園高(現・下北沢成徳高)卒業後の03年に日本代表初選出。04年アテネ五輪は代表入りを逃したが、08年北京から東京まで4大会連続出場。12年ロンドンでは主将として銅メダル獲得に貢献。13年にラグビー元日本代表の四宮洋平さんと結婚。翌年に長女の和香ちゃんを出産後、再び現役復帰。186センチ、78キロ。最高到達点は305センチ。