【パリ(フランス)=吉松忠弘】第2シードの柴原瑛菜(24=橋本総業)ウェスリー・コールホフ(オランダ)組が、ウリケ・アイケリ(ノルウェー)ヨラン・フリーゲン(ベルギー)組を7-6、6-2で下し、4大大会の混合ダブルスを初制覇した。同種目の優勝は、99年全米の杉山愛、マヘシュ・ブパシ(インド)組以来、全仏では97年の平木理化、ブパシ組に続く快挙となった。

最後は柴原がサービスエースで決めた。優勝を決めた瞬間、両腕を挙げてガッツポーズした。コールホフと抱き合って喜んだ。セレモニーでは「パートナーに感謝したい。最高です。優勝は夢のようです」と英語でスピーチした。

20年全米ダブルス準優勝のコールホフからの“ラブコール”で最強ペアは結成された。柴原は4月にインスタグラムで誘われ、今大会で初めて組んだ。1回戦で最終セットの10点先取タイブレークを制し、波に乗った。ともに万能型で柴原は「2人ともに何でもできる。とても信頼している」。コールホフは「初めて組んだけどいいプレーができた。これからもペアを続けたい」と今後の4大大会でもペアを組みたい意向を示した。

柴原は日本人の両親の間に、米カリフォルニア州で生まれ育った。4大大会の決勝進出と、東京五輪出場が夢で、日本代表としてプレーするため、日本の国籍を選択。しかし、東京五輪では青山修子とのダブルスでまさかの1回戦負け。今年の全豪も4強と、夢を目の前にして足踏みした。

赤土は速いテンポを得意とする柴原にとって、不得手なコートだった。その赤土の最高峰で、1日には決勝進出を果たし、頂点に立った。「自分に自信を持って優勝できると信じていました。サポートしてくれたみなさんありがとう」。新たな経験と自信をつかんだ大会となった。

◆柴原瑛菜(しばはら・えな)1998年(平10)2月12日、米カリフォルニア生まれ。父義康さんの仕事の関係で、生まれも育ちも米国。7歳でテニスを始め、16年全米オープン・ジュニア複優勝。全米ではトップジュニアで、カリフォルニア大ロサンゼルス校に進学。17年全米大学シングルスで4位にランクされた。19年プロ転向で大学は休学。ツアーのダブルスで通算8勝を挙げ、22年全豪では4強入り。同年3月には、自己最高のダブルス世界4位となった。家族は両親に、兄2人の5人家族。173センチ、60キロ。

◆混合ダブルス 世界ツアーでは、4大大会だけで行われる種目。基本的に、ダブルスの世界ランキングを元に、本戦入りやシードが決められる。世界ランキングのポイントはつかないが、賞金は獲得できる。4大大会の正式な種目で、歴代優勝者の名前が刻まれる。過去、日本選手の混合は、男子1度、女子2度の優勝で、柴原は4人目。五輪では12年ロンドン大会から種目に復活した。

◆WOWOW放送予定 3日午後9時半から。4日午前0時20分から。ともにWOWOWライブ。生放送。男子シングルス準決勝ほか。WOWOWオンデマンドとWOWOWテニスワールドで全コートライブ配信される。