4月の世界ジュニア選手権で優勝した米国の17歳イリア・マリニンが、前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ=4A)に世界で初めて成功した。

日本が明治時代の1882年、シングルアクセル(1回転半)の成功から140年。歴史の扉が開いた。

マリニンはフリー冒頭で挑戦。緩やかな助走から前向きに鋭く踏み切ると、しっかりと右足で着氷した。演技後は笑顔で、得点を待つ間にガッツポーズ。公式記録のジャッジスコアには、基礎点12・50の明記に続いて、ジャンプの成功を意味する「GOE(出来栄え点)プラス」の1・00点が加点された。

過去のアクセル初成功者は以下の通り。

<シングルアクセル=1回転半>

1882年(明15)にオーストリアの首都ウィーンで開かれた国際大会グレート・インターナショナル・スケーティング・トーナメントで、ノルウェーのアクセル・パウルゼンが初めて跳んだ、とされている。まだ当時はフィギュア用の靴がなく、スピードスケート用の靴で跳んだという。

<ダブルアクセル=2回転半>

1948年(昭23)サンモリッツ五輪(オリンピック)で米国のディック・バトンが初成功した。バトンは羽生より66年前のオリンピック(五輪)2連覇王者として知られている。

<トリプルアクセル=3回転半>

1978年(昭53)にカナダのバーン・テイラーが世界選手権で成功した。女子では日本の伊藤みどりが1988年(昭63)のNHK杯で初めて決めている。

<クワッドアクセル=4回転半>

17歳のマリニンがUSインターナショナルで初成功した。

これで6種の4回転ジャンプ(トーループ、サルコー、ループ、フリップ、ルッツ、アクセル)がコンプリートされた。【木下淳】