フィギュアスケート男子で10年バンクーバー五輪代表の織田信成氏(35)が、陰口などのモラルハラスメントで精神的苦痛を受け、関大アイススケート部の監督辞任に追い込まれたとして、19年11月に当時同部コーチだった浜田美栄氏(63)に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が1日、大阪地裁であった。

全面対立のまま結審し、松本明敏裁判長は判決期日を23年3月2日に指定した。

互いの主張の主な食い違いは以下の通り。

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◆「8の字練習」

17年3月、リンク上で5人が一斉に「8の字練習」をしており、危険性があるため織田氏は浜田氏に注意したと主張

織田氏「(指導していた)田村(岳斗)コーチは浜田コーチのアシスタント。『こういう滑走は危ないので、やめてほしい』と浜田コーチに伝えた。『分かりました。田村くんに言っておくね』と言っていたが、5分ほどして顔を真っ赤にして『あなたの言うことは間違っている!』と言われた」

浜田氏「(「あなたの-」の発言は)ありません、ないです。8の字ではなく3つの円で滑っていた」

◆陰口

織田氏「(リンクの)隣の更衣室から僕の悪口が聞こえた。精神的に限界になった」

浜田氏「ありません」

◆無視

織田氏は19年世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)などであいさつを無視したと主張

織田氏「リンクサイドですれ違った。すごく顔を真っ赤にしていて、あいさつしようにも無視。(自身の)マネジャーと一緒に歩いていて『むちゃくちゃ怖いね』と話した。時間までは覚えていない。人が怒る理由は分からない。あいさつをしようと思ったら、にらみつける態度だった」

浜田氏「(無視は)ありません」

◆誹謗(ひぼう)中傷

19年11月に織田氏が大阪地裁へ提訴後、記者会見を実施。以降もブログで浜田氏の名を出しての意思表明、週刊誌報道などがあり、浜田氏は名誉毀損(きそん)を主張

浜田氏「『この女、一筋縄ではいかない』などと(ネットで)ひどい誹謗(ひぼう)中傷を受けた。『週刊誌に言えばいいのよ』と(織田氏と母憲子コーチの)親子で言っていたと聞いた。恐ろしい世界だと思った。コンビニで買い物をしていて『あっ、モラハラコーチ』と言われたこともある」

織田氏「(会見などは)フィギュアスケート界をもっと風通しのいいものにしたいと思った。(ブログは)自分が受けてきたことを、公にしたい気持ちがあった。(提訴後は)行動を見てくれて、連絡をくださる方もいた。(誹謗中傷は)コメントをする人が悪い」