「常勝軍団」への礎を築き上げる。第102回全国高校ラグビーが今日27日、花園ラグビー場(大阪)で開幕する。27大会連続29度目出場の仙台育英(宮城)は「全国16強」をひとつの目標に掲げる。同校OBで就任2年目を迎えたニールソン武蓮傳(ぶれんでん)監督(44)は、ラグビーの「5つのコアバリュー」を指導理念とし、選手たちの成長を促す。長期的ビジョンで全国制覇を目指す一方で、「花園上位常連」を最優先ミッションに据えた。近年の高校ラグビーは関西、関東勢の「2強時代」に突入しているが、東北勢復権を果たし、新時代の幕開けを告げる。

目の前に迫った冬本番。ニールソン監督は「チームの状態は良い感じです。ちょっとずつ階段を上ってきた」。宮城県大会で「27連覇」を達成し、満を持して花園へ乗り込む。今月は2度の遠征を含む計3度の対外試合を行った。例年よりも強度の高い練習で調整し、東海大静岡翔洋との初戦(28日)に向け、態勢は整った。「戦術を理解して、まとまったラグビーができる。1試合ごとに集中して勝ち上がりたい」と言葉に力を込めた。

“勝負の2年目”でさらなる躍進を期す。昨年は指揮官として初の花園舞台に立ったが、2回戦で報徳学園に完敗。ニールソン監督はラグビー大国、ニュージーランドから来日し、選手として同校に入学。2年時には当時18年ぶりの花園出場に貢献、3年時には主将を務めた。大学卒業後は国内のトップチームで活躍。15年に母校へ戻り、6年間コーチとして指導にあたった。経験と実績は豊富だが、昨年は監督としての難しさを痛感したという。「勝ち負けの重みが違う。監督になってみて、絶対的な責任を強く感じるようになった」と振り返った。

元プロラグビー選手で、今は名門を率いる指揮官にはブレない信念がある。ラグビーが人間形成に資する特徴として、5つのコアバリュー(品位、情熱、結束、規律、尊重)が存在し、中でも「尊重」を一番大切にしている。「意識していることはたくさんあります。でも、大事にしていることは尊重です。仲間や相手、地域の人たち、大会関係者やメディアの方。みなさんに対しての尊重を忘れてはいけないと思っています」。ラグビーを通じた選手、人としての成長を重視している。

近年の高校ラグビー界は近畿、関東勢の台頭が目立ち、東北6県代表校の上位進出はかなえられていない。全国制覇は1987年(昭62)の秋田工にまでさかのぼる。冬の王者を決める大会であり、もちろん頂点を狙いにいくが、それ以上に成し遂げたいことがある。「毎年、花園のベスト16に定着できるようになることが、まずはゴールです」と長期的なビジョンを描いている。

さらに、勝ち負け以上にこだわることがある。「自分たちのラグビーをやれずに勝ってもスッキリしない。すべてを出し切って負けるのは悔しいですが、満足感はある。選手には何があっても自分たちのラグビーを貫いてほしい」。過去2度の4強入りを誇るが、過去15大会では3回戦進出は1度きり。「花園上位常連校」へ、仙台育英の威信をかけて戦う。【佐藤究】

◆ニールソン武蓮傳(ぶれんでん)1978年(昭53)4月5日生まれ、ニュージーランド・オークランド出身。11歳からラグビーを始め、仙台育英では2年時に花園出場。3年時に主将を務めた。流通経大卒業後は国内トップチームで活躍。NECグリーンロケッツで4年、コカ・コーラウエストジャパンで6年、釜石シーウェイブスで4年プレーした。15年から仙台育英ラグビー部コーチを務め、21年、監督就任。