部員の違法薬物逮捕事件が起きた日本大(日大)アメリカンフットボール部は「当面の間の出場資格の停止」となった。今季の関東大学リーグ戦(9月2日開幕)に出場できるか否かが審議される関東学生連盟の臨時理事会が10日、オンラインで開かれ、試合出場は認められなかった。日大側が参加の意向を9日までに固め、申し入れを受けた関東学連が日大・中村敏英監督からの報告を受けた上で、該当校(日大)関係を除く理事で議論し「現状では試合に出場させることはできない」と判断した。今後、規律委員会が調査を進め、最終的に理事会で処分が追加される可能性もある。

処分理由には以下の4点が挙げられた。

(1)日大アメフト部側から、逮捕された部員以外の部関係者全員が違法薬物に潔白であると保証できない旨が示されたこと

(2)逮捕された部員以外の部の関係者に違法薬物を使用した者が存在している疑いが払拭できないこと

(3)再発防止策の提示ならびにその実施がなされていないこと

(4)部関係者(指導者、学生を含む)の責任の所在が明らかでないこと

関東学連は「連帯責任」を求めない方針だったが、それに則ったとしても「これまで日大アメフト部が十分な事実の解明をなさず、かつ、同部が責任の所在を明確化していないため、現段階では同部全体を処分せざるを得ず、これは連帯責任以前の問題であると考えます」と厳しく突き放した。

一方の日大は、部員も参加した緊急保護者会を8日から2夜連続で開催。競技スポーツ担当の沢田康広副学長や中村敏英監督が、参加者とオンラインで公式戦への出場可否を話し合い、学内では参加を希望する方向でまとまった。

関東学連への意思表明期限としていた、前日9日の午後11時59分までに報告。一夜明け、日大側の申し入れを踏まえ、関東学連が対応を協議した。関係者によると、先述の処分理由4点にあるように、現時点で出場容認は難しい状況で意見も大勢を占めていたため、臨時理事会は2時間超、丁寧にポイントを押さえながら、紛糾することなく進行されたという。

この臨時理事会を前に、日大側は無期限活動停止処分の解除を10日付で決定していた。先月から活動を自粛していたものの、今月5日の処分から、わずか5日後。その中で違法薬物関与者は1人と判断し「部員1名の薬物単純所持という個人犯罪であり、個人の問題を部全体に連帯責任として負わせることは、競技に真剣に取り組んできた多くの学生の努力を無に帰することになり、学生の成長を第一に願う教育機関として最善の措置ではない」と説明したが、同じく連帯責任を求めない方針だった関東学連にも「それ以前の問題」支持されなかった。

事件を巡っては、今月5日に3年生部員の北畠成文容疑者(21)が覚醒剤取締法違反と大麻取締法違反の疑い(ともに所持)で逮捕された。8日には林真理子理事長ら最高幹部が会見で釈明していた。

関東大学リーグ1部上位「TOP8」は来月2日、日大と法政大(法大)の1カードで開幕する予定だったが、中止となった。その先も、日大が4つの条件をクリアし復帰しても残りの節は「参考試合」となるため、勝敗がつかない。最高でも1部下位BIG8との入れ替え戦。学生日本一を争う大学日本一決定戦「甲子園ボウル」出場の可能性は消滅した。【松本航、木下淳】

 ◆TOP8 関東大学リーグ1部上位(最上位)。昨年優勝の早稲田大を筆頭に今季は法大、明治大、中央大、立教大、東京大、日大、慶応大が所属。8チーム総当たりのリーグ戦を行う。第2節の16日は東京ドームで早大―日大など4試合、最終節は11月23日に横浜スタジアムで開催される。優勝校は全日本大学選手権に出場(決勝が甲子園ボウル)できる一方で7、8位は1部下位BIG8との入れ替え戦に回る。