長崎南山が山梨学院とのシーソーゲームを制し、6大会ぶりの花園1勝を手にした。20-26で迎えた後半22分、CTB池田太陽(2年)が1点差に迫るトライを奪って逆転劇を呼び込んだ。スタンドには同校OBで花園出場経験のある長兄雄大さん(23)、次兄大地さん(大学4年)の姿も。3兄弟の末弟が家族に勇姿を届けた。高鍋(宮崎)は青森山田を下し、3大会連続で初戦突破を決めた。今大会の優勝候補で大会連覇を狙う東福岡がいる九州勢は好発進となった。
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勝負どころで池田は無心だった。「もう夢中のひと言」。後半22分。ゴール前でパスを受ける。わずかなスペースを見つけ、迷いはなかった。「コースが空いていた。走りきるだけだなと思った」。170センチ、80キロの屈強な体を揺らし、左中間インゴールへ豪快に飛び込んだ。後半だけで2度勝ち越され、その直後に1点差とする反撃トライだ。
「初めてトライしたみたいな感じ。とにかくうれしい」と声をはずませ、興奮を隠しきれなかった。
その5分後にSH山下蓮(3年)がペナルティーゴールを決めた。結果的に逆転につながる値千金の1トライだった。
スタンドには尊敬する兄2人がいた。雄大さん、大地さんは、2人とも同校ラグビー部で6大会前の花園に出場。当時小学生だった池田は、現地で声援を送っていた。
「兄のように長崎南山で花園に出ることが夢になった。憧れていました」
兄2人も通った長崎南山中に進学し、中高一貫でラグビーに打ち込むことを決意した。今大会は背番号12を背負い、池田3兄弟の末弟が聖地のピッチを踏む記念すべき1日となった。
雄大さん、大地さんは「兄弟3人とも花園に出るとは…。感慨深い」と口をそろえた。試合はビハインドの展開だっただけに心配そうな表情を浮かべつつ、弟の躍動する姿を見届けた。
兄の影響もあって3歳の頃から楕円(だえん)球を追った。3兄弟で自宅近くの公園でパス練習、1対1の試合形式で行う“兄弟対決”のような特訓は日課。就寝前はベッドの上でフルコンタクトがいきなり始まったこともあった。
池田は「兄2人は手加減を知らなくて…。悔しくて泣かされたこともありましたけど、兄2人の背中を追ってきた。兄を一番信頼しています」と満面の笑みで振り返る。今となってはいい思い出だ。
「兄2人は花園2回戦で負けている」。“兄貴超え”まではあと1勝だ。
次戦はBシードの国学院栃木との2回戦だが「兄を超えてみせます」と高らかに宣言した。兄も果たせなかった全国2勝を遂げ、花園で新年を迎えるつもりだ。【佐藤究】
◆池田太陽(いけだ・たいよう)2006年(平18)7月19日、長崎県出身。3歳でラグビーを始め、長崎南山中では中学3年時に県選抜で全国大会に出場。趣味は筋トレ。好きな人はボディービルダー山沢礼明。山沢礼明のユーチューブチャンネル「筋肉チャンネル」がお気に入り。ポジションはCTB。身長170センチ、80キロ。


