18年平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(24=トヨタ自動車)が3位につけた。

銅メダルの団体戦で記録した自己最高を、0・44点上回る105・90点。手のひらを上に向け、驚いた表情で「102(点)ぐらいかなと思っていた」と振り返った。

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リンクサイドに信頼する師がいた。スイスで新型コロナウイルス陽性となったステファン・ランビエル・コーチ(36)は団体戦で不在。06年トリノ五輪銀メダリストは6日に合流した。最高のレベル4をつかんだ3つのスピン、ステップでは右手を振り、体を上下に揺らして見守っていた。「ステップはもっとできたよね」-。その指摘は宇野の自己分析と一致していた。

絶妙の距離感がある。ランビエル・コーチ不在だった今月3日の練習。団体戦SP前日にもかかわらず、宇野は35分間で22本の4回転ジャンプを着氷させた。納得いくまで跳び続けて「まだ本調子じゃない」と言った。誰もが認める練習の虫は、熱中すると止まらない。そんな時にはランビエル・コーチの一言が熱を冷ます。ユーモアたっぷりに「このスケーティング、全然練習していないよね?」。滑り、スピン、ステップ、振り付け…。ジャンプ重視でおろそかになる部分を指摘され、宇野は「そうですよね」とほほえんで取り組む。2人にとっての日常だ。

五輪2大会連続の表彰台、そして金メダルを期待する声にも宇野はぶれない。

「このショートプログラムより、難しい構成が待っている。僕は練習につながる試合、そして試合につながる練習を求めています」

中1日で迎えるフリー。勝負のプログラムは、ランビエル・コーチ振り付けの「ボレロ」だ。【松本航】