米国のビンセント・ジョウ(21)が、新型コロナウイルス検査陽性判定後の隔離、療養をへて復帰した。

大会序盤の団体戦で銀メダル獲得に貢献した直後の7日、陽性をインスタグラムで報告して翌8日から参戦する予定だった個人戦を棄権。団体戦のフリー以来10日ぶりに姿を見せ、指導を受ける日本の浜田美栄コーチと抱き合って笑顔。どこか照れくさそうにリンクへ入り、久々の感触を確かめるように大きく滑った。

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後に、日本の報道陣に「8日間も動いてなくて、今日は復帰して最初のセッションだったから、そんなにいい状態でトレーニングできていない」と明かした通り、サルコーなどジャンプに最初は苦戦していた。しかし、身体が温まると高難度の4回転ルッツに成功して拍手を浴びるなど、元気な姿を示した。

ジョウは19年の世界選手権で銅メダル。今季のグランプリ(GP)シリーズ第1戦スケートアメリカで、ルッツを含む4回転ジャンプ5本を決めて優勝。今大会の個人戦で金メダルを獲得した、同じ米国のネーサン・チェンの無敗記録を止めて北京五輪でもメダル候補の1人だった。

しかし、団体戦の銀メダルを喜んだのもつかの間、新型コロナ感染。無症状だったものの、期待された個人戦を諦めることになり「ここにいる誰にでも起こりうる最悪の事態。私の心を壊すのに十分な出来事でした。非常に困難で、この気持ちは言葉にできない」と今も語るほどのショックを受けた。

しかし、しっかり治して気持ちを立て直して練習を再開。最終日20日のエキシビション参加が確実となり「ガーラ(エキシビション)に招待されたことは本当に光栄。また五輪の氷の上を滑ることができて幸せ」と前を向いた。

浜田コーチとも再会を果たし「パンデミックのせいで長く彼女には会えていなかった。また彼女と一緒にスケートができてうれしかった。とても頭が良くて、いつも正しいことを言ってくれるコーチ」と感謝の言葉を忘れなかった。

状態について問われると「五輪前に、とてもとても練習をしてきた。早く以前の体形に戻したい」と隔離生活で衰えたフィジカルを取り戻すことを当面の目標とした。

この発言中、取材エリアの広報を日本の宇野昌磨が通過。しっかり気付いて「コングラチュレーション(おめでとうございます)!」と、個人戦で銅メダルを獲得したことを祝福した。2人はスケートアメリカやGPシリーズ第4戦NHK杯、今大会の団体戦(米国は銀、日本は銅)で高め合った戦友でもあった。

最後に、来月の世界選手権(フランス・モンペリエ)へ向けて「この五輪のために非常にいい準備をしてきたように、世界選手権でも同等の準備ができたら。ありがとうございました」と丁寧に頭を下げて復帰初日を締めくくった。【木下淳】

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