【この7月に支配下になれなかった選手たち】西武最後の1人は誰だ…脳内ドキュメント

西口文也監督(52)率いる新生ライオンズが、初めて「7月31日」を迎えました。昨シーズン91敗からの再建1年目。支配下選手枠を「6」余らせた64人でスタートし、登録期限の7月31日までに満枠にしました。勝利と次代育成の両立を託された今季、30人いる育成契約選手をどう運用してきたのでしょうか。西武担当記者の〝目撃〟を振り返ります。

プロ野球

■7月27日

最後の1人は誰になるのだろう。JR南武線の稲田堤駅を下り、京王稲田堤駅への乗り換え路を急ぐ。

隙間から美しい夕焼けが見える。思わずスマホで撮る。夏だ。7月27日、プロ野球の育成契約選手にとっては、緊張の時期。

2軍戦が行われるジャイアンツタウンへ急ぐ中、稲田堤の乗り換えで見た夕焼け(撮影・金子真仁)

2軍戦が行われるジャイアンツタウンへ急ぐ中、稲田堤の乗り換えで見た夕焼け(撮影・金子真仁)

横浜スタジアムで行われた高校野球神奈川大会の決勝戦からハシゴした。ジャイアンツタウンには初めて来た。雰囲気のいいスタジアムでの2軍巨人-西武戦はもう、8回表だった。

西武の守備。見覚えのない右腕投手が投げていた。背番号117。育成選手の名前と顔は全員知っていても、背番号まではほとんど覚えていない。

スコアボードを見る。「宮沢」とあった。宮沢太成投手(26、写真)だった。

百聞は一見にしかず。「宮沢が最近いい」と関係者に聞いてはいても、そこまで深く意識に入り込んではいなかった。見覚えがないのはフォームの印象もだいぶ変わっていたから。

その宮沢が「うりゃ!」のような声を上げながら、強烈な直球を投げ込んでいる。140キロ台終盤ながら、打者のバットのかなり上を直球が抜ける。フォークも荒れていない。

オリックスやソフトバンクにいそうな、パワフル系のリリーフ右腕のよう。これ、もしかしたらラスト1枠は宮沢が一気に取るんじゃ―。少し興奮した。

★「支配下になれなかった選手たち」上編

支配下選手は最大で1球団70人まで。記者はこれまでの取材に基づき、最後の1枠が誰かを推測していきます。記事では、今シーズンの西武の育成→支配下の変遷とともに、正解に行き当たるまでの過程を振り返ります。

■年始 支配下登録64人、育成30人

30人。今年の年明け時点での、西武の育成契約選手の数だ。対して支配下登録選手は64人。満枠が70人なので、5~6人が昇格できる環境にある。

新外国人獲得やトレードもありうるが、基本線は〝育成選手の昇格〟だ。19年秋から3軍制を始め、生まれ変わろうとするチーム。育成→支配下が自然だ。

年明け時点での育成契約30人を列記する。

【投手】浜屋将太、大曲錬、上間永遠、ビクター・ロペス、宮沢太成、井上広輝、三浦大輝、冨士大和、シンクレア、森脇亮介、川下将勲、木瀬翔太、佐藤爽、佐々木健、黒木優太

【捕手】野田海人、是沢涼輔

【内野手】野村和輝、谷口朝陽、金子功児、川野涼多、福尾遥真、仲田慶介、佐藤太陽

【外野手】アンソニー・ガルシア、ラマル、沢田遥斗、オケム、モンテル、仲三河優太

7月末までに誰が支配下をつかむか―。他球団からの入団組である黒木と仲田は、春季キャンプを1軍で完走し、オープン戦でもアピールを続けた。「当確」の流れだった。

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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。