【スケート×勉強〈3〉】中庭先生と武田塾 口揃え「比べていいのは過去の自分だけ」

フィギュアスケート界では異例の“異業種対談”が実現しました!

MFアカデミーで渡辺倫果選手や中井亜美選手らを指導する中庭健介コーチ(41)が、「授業をしない塾」がキャッチフレーズの学習塾・武田塾御茶ノ水本校の清水曉校舎長(26)と対談を実施。「指導論」のテーマのもと、2人の指導理念やコーチング論を交わしました。

第3回では「目標設定は必要か」「子どもたちに現状の実力を把握させるには」といった共通テーマを出発点とし、自己肯定感を高めるための指導や失敗を許容することの大切さを語り合いました。

フィギュア

中庭健介コーチは現役時代、04年全日本選手権で2位となるなど国内トップ選手として活躍した。(中央は本田武史、右は織田信成)

中庭健介コーチは現役時代、04年全日本選手権で2位となるなど国内トップ選手として活躍した。(中央は本田武史、右は織田信成)

目標設定は本当に必要なのか

中庭 子どもたちのモチベーションを高める話をしてきましたが、時には冷静に現状を分析し、問題点を伝えなければいけない場面もあると思います。

清水 よくありますね。

中庭 スケートでも「ジュニアのトップになりたい」といった相談を受けることがあります。もちろん、上を目指すことは大切ですが、現時点では厳しいと伝えざるを得ないケースにも直面します。例えば「東京大学に受かりたい」と相談を受けた時に、「よほどの努力をしないと合格は厳しいな…」ということはありますか?

清水 東大の難しさをあまり理解していなくて、自分とのギャップが見えていない受験生は目にすることがあります。

中庭 そういった場合は本人が希望するように道筋を立てるのか、志望校を変更するように伝えるのか、どういった対応をされますか?

清水 時と場合によりますが、基本的には志望校だけでなく、合格の可能性が高い大学への受験も視野に入れながら、受験指導を進めていくことが多いです。私立文系であれば早慶が難関大と位置付けられるのですが、まずは明治大や日大などの大学に受かる力をつけていくようにアドバイスします。その上でモチベーションを維持したまま、ゴールへたどり着くためのプランニングをしていきます。中庭先生はどのように対応されていますか?

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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。