【大阪発】勝部晃多が見た 樋口新葉の「強さ」理想ではない時に表れるアスリートの器

フィギュアスケート女子で22年北京オリンピック(五輪)4位の樋口新葉(24=ノエビア)が、現役ラストシーズンの苦難に立ち向かっています。今季のグランプリ(GP)シリーズ初戦となったシリーズ第4戦NHK杯のショートプログラム(SP)はジャンプミスが重なり10位発進。足の痛みと闘いながら、夢の舞台を目指しています。

第3戦スケートカナダからの新企画として、通常の記事ではなかなかお伝えできない「こぼれ話」をお届け中。樋口の「強さ」が表れた場面を、現地取材ならではの視点を交えながら、ショートコラムとして紹介します。

フィギュア

<フィギュアスケート:GPシリーズ第4戦NHK杯>◇11月7日◇大阪・東和薬品RACTABドーム

女子SPで演技する樋口(撮影・前田充)

女子SPで演技する樋口(撮影・前田充)

表情を見た瞬間

樋口選手は「強い」。

周知の事実かもしれませんが、改めてその強さを痛感した場面がありました。

それは、今季のシリーズ初戦で53・15点の10位発進となったSP直後のことでした。取材エリアに現れた樋口選手の表情を一目見た瞬間、私は他の選手とは異なる点を強く感じ取りました。

女子SPで演技する樋口(撮影・前田充)

女子SPで演技する樋口(撮影・前田充)

今大会は、彼女にとって極めて厳しいスタートとなっています。

冒頭の3回転ルッツが2回転に抜け、後半の3回転フリップもダウングレードの判定。何とかリカバリーを図ろうと試みましたが、結果的にコンビネーションジャンプを加えることはできず、思うように演技をまとめられなかったのです。

私は、理想通りのパフォーマンスができなかった時にこそ、直後の振る舞いにアスリートの本質が表れると考えています。

このNHK杯も、海外の選手をはじめ演技後に悔しさや憤りをあらわにする少なくありませんでした。

だからこそ、樋口選手がメディアの前でどんな態度を見せるのか、ひそかに注目していました。

悲しみか、あるいは、気丈な振る舞いか。

しかし、その姿は、私の予想を超えたものでした。

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スポーツ

勝部晃多Kota Katsube

Shimane

島根県松江市生まれ。2021年4月入社。高校野球の神奈川担当などを経て、同年10月からスポーツ部に配属。バトル班として新日本プロレスやRIZINなどを担当し、故アントニオ猪木さんへの単独インタビューや武藤敬司氏の引退試合、那須川天心―武尊などを取材した。 23年2月から五輪班に移り、夏季競技はバレーボールを中心に担当。同年秋のW杯や24年夏のVNLなど。冬季競技はフィギュアスケートをメインに務め、全日本選手権は2年連続で取材中。X(旧ツイッター)のアカウントは「@kotakatsube」。