【九州場所こぼれ話 中日~千秋楽】「漢・境川じゃないですか。オレは大好き」

九州場所もいろいろなことがありました。

現地で取材した「こぼれ話」をお送りします。

後編の今回は、中日から千秋楽までをお届けします。

大相撲

中日に新序出世披露に臨んだ左から旭富士、天昇山、関、武田(撮影・宮崎幸一)

中日に新序出世披露に臨んだ左から旭富士、天昇山、関、武田(撮影・宮崎幸一)

玉鷲が41歳誕生日

中日

玉鷲関の41歳誕生日。山科親方(元幕内豊響)の41歳誕生日でもある。2人は生年月日が同じ。山科親方に、玉鷲関とのエピソードを聞いた。

元幕内天鎧鵬の南貴由輝さんが、先発事務所などにあいさつに来ていた。

羽出山(右)は竜電をはたき込みで破った(撮影・宮崎幸一)

羽出山(右)は竜電をはたき込みで破った(撮影・宮崎幸一)

十両の羽出山関が、初めて幕内の取組に組み込まれた。堂々の相撲で勝った。話しを聞いても、まったく動じない様子だったことが分かる。表情も変わらない。このキャラクターは、だいぶ知られてきたように思う。

西の支度部屋で、玉鷲関と床雄さんが派手に抱き合っていた。何があったのか、取組後に聞いてみなければ。

その玉鷲関は大の里関に敗れた。右のど輪で土俵際まで押し込む場面もあったが、はたき込まれた。館内は沸いていた。支度部屋のモニターで見ていた若元春関は思わず「惜しい! これぞ大相撲」とうなっていた。

玉鷲(左)は大の里に敗れたものの、得意の右のど輪で攻め込むなど見せ場を作った(撮影・宮崎幸一)

玉鷲(左)は大の里に敗れたものの、得意の右のど輪で攻め込むなど見せ場を作った(撮影・宮崎幸一)

玉鷲関は、結びの一番を終えた豊昇龍関とほぼ同じタイミングで支度部屋に戻ってきた。こういう場合は誰でも、風呂は先に横綱に譲る。2人で入れる広さはある。番付下位の者は、横綱が風呂に入っている間にマゲを直したりしながら待つものだが、玉鷲関は一緒に入っていった。近くにいた記者と「さすがだね」なんて言いながら、風呂から上がるのを待った。

41歳の誕生日に関係する話などを聞いた。帰り際、床雄さんとのハグについて聞くと「あの子にも、誕生日プレゼントをあげてるんだよ」と言っていた。互いに誕生日を祝い合っているようだ。後日、床雄さんにも聞いてみることにした。

境川親方の厳しい指摘

9日目

私は休み。会社の決まりで、15日間のうち1日以上は休むことになっている。

この日は天神でランチ。ごぼう天うどんと雲仙ハムのミニ丼

この日は天神でランチ。ごぼう天うどんと雲仙ハムのミニ丼

9日目の取組は、宿泊先でABMEMAとNHKを同時に見た。

この日は毎年恒例、博多見番の皆さんが観戦する日だった。マス席にたる酒を持ち込み、周囲の観客たちに振る舞っている。これはいったい、どういう仕組みで、いつからやっているのだろう。ちゃんと取材しておけば良かったと思いつつ、来年に持ち越すことにした。

土俵入りする幕内力士。向正面に博多見番の芸妓さんたちが観戦に来ていた(撮影・宮崎幸一)

土俵入りする幕内力士。向正面に博多見番の芸妓さんたちが観戦に来ていた(撮影・宮崎幸一)

NHKの幕内解説は、境川親方(元小結両国)。負けた平戸海関に厳しい指摘をしていた。少し突き放すようなコメントだった。もちろん、自分の弟子だからこそあえて厳しく言っているのだろうと思う。日ごろ、支度部屋で取材していると、モニターを見ることができても放送の音声は聞けないので、貴重な情報だと思えた。向正面の解説は、朝日山親方(元関脇琴錦)だった。

9日目、安青錦(左)は平戸海で寄り倒し破る(撮影・宮崎幸一)

9日目、安青錦(左)は平戸海で寄り倒し破る(撮影・宮崎幸一)

「漢・境川じゃないですか」

10日目

前日の解説の件、朝日山親方に聞いた。「漢(おとこ)境川じゃないですか。オレは大好き。弟子だから、甘いことは言えない。愛情だよ。憎しみを込めて言っているわけじゃない。頑張ってほしいという意味でしょう」。朝日山親方は現役時代、解説の親方のコメントは気にしていたという。「いろんな親方の意見は気になりますよ。チェックして、参考にしていました。ただ、師匠(元横綱琴櫻)は『お前は褒めると次の日だめだからな』って言ってました」。

1998年九州場所14日目 史上初の平幕V2を達成した琴錦は、タイを手に満面の笑みをみせる。左は佐渡ケ嶽親方(元横綱琴櫻)(1998年11月21日撮影)

1998年九州場所14日目 史上初の平幕V2を達成した琴錦は、タイを手に満面の笑みをみせる。左は佐渡ケ嶽親方(元横綱琴櫻)(1998年11月21日撮影)

境川親方にも聞いた。

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スポーツ

佐々木一郎Ichiro Sasaki

Chiba

1996年入社。特別編集委員室所属。これまでオリンピック、サッカー、大相撲などの取材を担当してきました。X(旧ツイッター)のアカウント@ichiro_SUMOで大相撲情報を発信中。著書に「稽古場物語」「関取になれなかった男たち」(いずれもベースボール・マガジン社)があります。