「出た! 奇数艇トリオ」。住之江ボートの記者席では、3連単で(1)(3)(5)の3人が抜け出した瞬間、どこからともなく、歓喜!? の声が上がる。ボートファンにはおなじみの「奇数艇トリオ」、「偶数艇トリオ」の言い回しは、住之江の実況アナウンサー・市岡学さんの代名詞。名言誕生のきっかけを聞いた。

住之江の実況アナウンサー・市岡学さん
住之江の実況アナウンサー・市岡学さん

市岡 奇数艇、偶数艇のフレーズや、スタートしましたっ…などを使い出したのは、だいぶ前です。ファンの方から市岡さんの言葉と言われ、オリジナルと意識するようになりました。

奇数艇、偶数艇は語呂の良さだけでなく、実はプロの技の一端でもある。

市岡 レースを見られない方に、瞬時に状況が分かるフレーズを考えました。

新規ファンの参入や、コロナ禍による無観客開催の増加で、実況を取り巻く環境も変わってきた。

市岡 僕らの仕事は、ファンの人の耳に残る実況を正確にすることです。商品は選手であり、僕らはあくまで裏方。その中で、聞いてくれた方に「ええ実況やった」と言われるよう、状況と合致するフレーズを選びたいと思っています。

住之江での実況は31年目に入った。独特のワードセンスで、今夜もボートファンの心をくすぐる。