池田雷太(55=東京)が6R、5コースからのまくり差しで勝利を挙げた。

2日目まで6、4、6着とリズムは良くなかった。この日は6R6枠の1回走りだったが、直前で5枠・野相弘司が欠場。5艇での競走となった。

3カドを選択した中村泰平は、今節の機力上位メンバー。行き足から伸びはこの中でも上位だった。その中村が、コンマ26のトップスタートから1Mでまくったところを、池田が稲妻のような瞬発力でまくり差し。そのまま2Mを先取りした。

「乗り心地が修正できて大分良くなった。シリーズ序盤から展示タイムも悪くなかったし、着が取れなくて悔しかった。今なら中堅はあるしレースはできる。昨日(2日目)まではコーナーで流れていたけど、調整がうまくいって一番いい結果が出た」と舌が滑らかに動いた。その池田は一時期“イン屋”を目指したことがあった。

「石川真二にいろいろ聞いてやってみたけど、難しかった。1年数カ月間、頑張ってみたけどね。点数が3点台まで落ちて首が危なかったから、枠なりに戻したんだ」と振り返る。ただ、新しいチャレンジはいつもしたいと考えている。

「“アウト屋”になるのも悪くないかもね(笑み)。今、阿波(勝哉)は大分ノーマルな感じにしているから、本当の“アウター”は沢(大介)だけかもしれない。例えばだけど、もし沢が優勝してそのエンジンを自分が引いたら、迷わずペラも触らずそれで乗ってみたい。そして、6コースから走ってみたい気持ちはある。だってそれって面白いと思わない? 楽しいと思うんだよね」と、この先もまだ引き出しを増やしたいという。

「今はみんな、前検からすぐにペラをたたくけど、本当は前回使用者が一番いい状態にして最終日を戦うから、その状態がベストのはずなんだよね。だから、まずは前検で(ペラが)どんな格好でも、その状態で乗れるようにしたい。SGとかに行くような人たちは“自分のスタイル”があるって言えるだろうけど、俺たちクラスには本当はそんなものないんじゃないかという気がしているんだ」とボートレーサーを長年やるために必要不可欠なこととして、柔軟性の必要性を説く。

「松井繁がね、初めて賞金王決定戦(現グランプリ)を住之江で取った時に使用したエンジンは、56号機。覚えているんだ。俺が初降ろしで乗ったから。なぜ覚えているかとい言うと、その時のエンジンも良かったけど、ボートとのセットの相性がすごく良かったから忘れられない。今は記者もファンの人たちや俺たちも、エンジンにばかり目がいくかも知れないけど、本当に重要なのは、いいエンジンにいいボートを組み合わせること。そうだな…。(複勝率)20%台前半までのボートは“ボロ”だと思っていいと思う。だから、俺もまだまだ頑張るけど、君も、もっとボートを勉強するといいと思うよ…」。

池田は「予選突破は厳しいけど、何とか(勝率)5点台を取って帰りたい」と目をキラキラと輝かせていた。