調整力、対応力、戦略。これまで培った技術が全て詰まった1Mだった。2枠の山口剛(43=広島)は「関(浩哉)選手に準優のようなターンをさせず、池田(浩二)選手との勝負に持ち込みたかった」。

3コースの関だけでなく、ダッシュ勢に仕事をさせず、池田の内側をめがけ、俊敏なハンドルで飛び込んだ。出足を重視した40号機がそれに応え、瞬時に加速した。舟を並べ、2Mを先に回り、池田の猛追をしのいだ。

10年3月、平和島クラシック以来のSG制覇。長い時間が限りない喜びを生むと想像していたが、現実は違った。「ずっと努力し続けているので、いつか結果が出るとは思っていたけど、実感が湧かない。本当に喜べるのはGPを勝った時なんだと思いました」。22年の大村大会は1走目でフライング、23年の住之江大会は1走目で転覆。大村では枠番抽選に参加できず、関係者に謝り、辛い時間を送った。「あの時があったから、今の自分がある。GPを優勝しないと、あの悔しさは晴らせない」と強固な意志をのぞかせた。

2年前から広島支部長の重責も担い、レースと公務を両立している。「くたばるまでレーサーをやろうと思っている」。成長途上の43歳は、賞金ランク7位で臨む年末の大一番も真剣勝負を貫き、初の頂点を目指す。